出版社内容情報
右か?左か?――そもそもこの区別は何を意味するのか?/しないのか?――実は、時にはどちらでも良いこともあれば、時には重大な意味を持つ(=左右特異性)こともある……。
この「右か?左か?」というテーマはとても奥が深いのである。本書で紹介される例は実に多様で、植物の弦の巻き方、カタツムリの殻の巻き方、化学物質の左右特異性(原像と鏡像)などからアルファベット、台風の渦は北半球では反時計回り南半球では時計回り、右巻きと左巻きの注連縄、卍(鉤十字=まんじ:仏教で用いられる吉祥の印)と卐(ハーケンクロイツ:アーリア人優越論のシンボルとしてナチス・ドイツが採用)……に至るまで、幅広く身の回りのあらゆる例を取り上げて、どのような意味が隠されているのか/いないのかを、図版を用いて興味深く解説する科学啓蒙書。
?T.手のひら対称性(掌性)とは
01 手足に見る原像と鏡像
02 アルファベットに見る原像と鏡像
03 手のひら対称性(掌性)をもつモノの世界ともたないモノの世界
04 鏡文字
05 原像と鏡像の現象の意味
06 原像と鏡像――右と左
07 燃える家
08 日常生活,政治および言語における右と左
09 右と左は対等なものか否か?
10 螺旋の右巻き・左巻きはどうのように定義されるか?
11 捻れた円柱――鏡像対称性が保持されている場合
12 捻れた円柱――鏡像対称性が欠けている場合
13 円柱――コンピュータで処理すると
14 上に向かって開いた祭壇
15 カタツムリの殻はどれも右巻き?
16 エスカルゴ――右巻きと左巻きの比は20,000:1
17 カタツムリの殻は――たいがいは右巻きで,まれに左巻き
18 ヒンズー教のヴィシュヌ神
19 工業技術における手のひら対称性(掌性)
20 つる植物
21 原像と鏡像は対等なものか否か?
22 眠っているイヌ,ゾウのキス,ブタの尻尾
23 サボテンと樹木に見る手のひら対称性(掌性)
24 花々に見る対称性と手のひら対称性(掌性)
25 ドゥーダーシュタットからモニュメント・ヴァレーへ
26 ほとんどすべてが反時計回り
27 階段の間と螺旋階段
28 高気圧と低気圧,浴槽の渦
29 イッカクと一角獣
30 タコノキ属の木――パンダヌス・スピラリス
?U.手のひら対称性(掌性)が現れるのはなぜか?
31 自然界に見る手のひら対称性(掌性)の起源
32 ゲーテと螺旋化傾向
33 原子・分子レベルにおける右と左
34 四つの相異なる頂点要素をもつ正四面体構造
35 アミノ酸――生命の文字
36 アミノ酸の手のひら対称性(掌性)
37 右でも左でもない――画一性こそ重要
38 砂糖は右旋性
39 左旋性ステーキと右旋性ステーキ
40 物質代謝――右旋性・左旋性の原因
41 遺伝によってきまる右巻き・左巻き
42 右巻き・左巻きは遺伝によるとも限らない
43 葉序
44 カロフィシーン――4億年前から今日まで
45 歴史的ハイライト
46 右旋性/左旋性現象に関する自然科学的進展
47 パスツールの発見のビオによる審査
48 ファント・ホフとル・ベル
49 左手に左の手袋,右の手袋
50 コンテルガンの悲劇
51 サリドマイドの復帰
52 制御されていない化学合成――1:1の混合物
53 制御下での化学合成――右旋性か左旋性かどちらかその一方
54 酵素と化学触媒
55 回復期の患者のためのアミノ酸カクテル
56 医薬品における右旋性と左旋性
57 “ラセミ移行”――右旋性・左旋性混合物からの移行
58 殺虫剤,殺真菌剤,化学除草剤
59 添加物による飼料の改良
60 食品添加物
61 芳香剤
62 生命の起源と右旋性・左旋性問題
?V.手のひら対称性(掌性)の例をさらに探せば
63 手のひら対称性(掌性)の例をさらに探す
64 蛇状書法と左右交互書法
65 鏡の国のアリス
66 対をなす原像と鏡像
67 綱とヘソの緒――手のひら対称性(掌性)の中の手のひら対称性(掌性)
68 螺旋と二重螺旋
69 右向きの水晶と左向きの水晶
70 バネ,冷却管,つる
71 チョコレートのカタツムリやナッツ入りカタツムリ
72 手のひら対称性(掌性)のさまざま
73 工業技術におけるプロペラ
74 音楽における転回
75 古い文化や秘儀に見る渦巻き
76 お釈迦様の巻き毛は左巻き
77 甲殻類とカレイ類
78 昆虫と繊毛虫
79 カタツムリをさらに詳しく見れば
80 右利きと左利き
81 利き目の右・左
82 右側と左側
83 逆位
84 “ボディーランゲージ”に見る手のひら対称性(掌性)
85 縞模様のネクタイ
86 書物の背表紙
87 手のひら対称性(掌性)という視点
?W.付録――対称性と手のひら対称性(掌性)
88 対称要素
89 非対称(ディスシンメトリー)
90 クラスaの手のひら対称性(掌性)とクラスbの手のひら対称性(掌性)
【著者紹介】
【原著者略歴】Henri Brunner (ヘンリ・ブルンナー)
1935 年Burkhartsdorf/Erzgebirge に生まれる
München 大学にて化学専攻,Ernst Otto Fischer 教授(ノーベル賞受賞者)に師事 理学博士
1971年よりRegensburg 大学無機化学教授
2004年Regensburg 大学名誉教授
【訳者略歴】柳井 浩(やない ひろし)
1937年東京都に生まれる
慶應義塾大学工学部 大学院 工学研究科 工学博士
1962年慶應義塾大学 助手
1973-1975年 A.v.Humboldt Dozentenstipendiat
1981年04月 慶應義塾大学 教授
2002年04月 慶應義塾大学名誉教授
内容説明
植物のつるの巻き方、カタツムリの殻の巻き方などから、北半球と南半球での台風の渦の違い、右巻きと左巻きの注連縄、卍(まんじ)と〓(ハーケンクロイツ)…に至るまで、ありとあらゆる身の回りの例をカラー図版で豊富に取り上げ、解説する。
目次
1 手のひら対称性(掌性)とは(手足に見る原像と鏡像;アルファベットに見る原像と鏡像 ほか)
2 手のひら対称性(掌性)が現れるのはなぜか?(自然界に見る手のひら対称性(掌性)の起源
ゲーテと螺旋化傾向 ほか)
3 手のひら対称性(掌性)の例をさらに探せば(手のひら対称性(掌性)の例をさらに探す
蛇状書法と左右交互書法 ほか)
4 付録―対称性と手のひら対称性(掌性)(対称要素;非対称(ディスシンメトリー) ほか)
感想・レビュー
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