感想・レビュー
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毒モナカジャンボ
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1953年に「誕生」したニコラ・ブルバキ。旧弊なフランス数学界で使われる解析学の教科書、その刷新を意図した若き数学者グループは、やがて数学全般にわたる実用的な公理的教科書の作成へと向かっていく。極端なまでの抽象化に基づく構造主義の数学記述システムは、60-70年代には全盛となりフランス数学の復興を主導することになるが、エリート主義が数学基礎論、圏論や確率論、何より応用数学の無視を招き、純粋数学と応用数学の爆発的混淆が起こる現代になって、もはやその有効性を失ってしまった。目的的に構成された集団の持続困難さ。2019/12/24