内容説明
農民一揆こそ、この騒乱の本質だ。2010年春、タイ。貧しき者たちが民主化に目覚めた。戦いは続く。果ては見えない。バリケード内から、地を這う視線で撮り続けた、バンコク騒乱の真実。
目次
ゴザと竹やりの解放区
カティヤ少将の暗殺
91人の死者
イサーン地方とは
バンコクのスラム
学生革命と「血の水曜日」―タイ民主化の源流
森に入った学生
山岳少数民族
歓楽街パッポン、タニヤ
南部の町
タイの華僑
著者等紹介
三留理男[ミトメタダオ]
1938年生まれ。報道写真家。日本大学藝術学部中退。在学中に写真集『小児マヒの記録』(法政大学出版局・61年)を発表。以後、アジア・アフリカを中心に取材を続け、82年、『国境を越えた子供たち』(集英社)をはじめとする一連の作品によって第三世界の国境線上の状況を広く伝えたことで「第1回土門拳賞」を受賞。88年、長期にわたるアジア・アフリカ取材活動に対して「第4回アジア・アフリカ賞」受賞。97年、『辺境の民 アジアの近代化と少数民族』(弘文堂)で「第9回アジア・太平洋賞特別賞」を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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isao_key
3
2010年3月バンコクでの反独裁民主戦線(UDD)通称赤シャツの活動を取材し、彼らの肉声と写真を収めた貴重な証言集。タイでも赤シャツ側に立った写真集や取材本は出ていないだけに、日本語で読める貴重な資料。 この対立の背景を知るためには、柴田直治『バンコク燃ゆ-タックシンと「タイ式民主主義』を読むことをお勧めします。この手の本は、売り切れると再販されないので、気になる方は早めに手に入れておいた方がいいです。2012/05/18
makimakimasa
1
アピシット政権下の2010年春、UDDによるバンコク中心部占拠を収めた写真集。「農民一揆こそ、この騒乱の本質だ」―UDDの多くはタイ東北部のイサーン地方(土壌に塩分が多く、乾季は不毛の地となる)出身の貧しい農民で構成されていた。著者はルンピニー公園で取材中、目の前でUDD幹部が射殺されており、その時の写真だけブレブレで迫力がある(表紙カバー)。タイ民主化運動の源流、1970年代の学生革命と「血の水曜日」の背景説明が分かり易い。日本の大学教授と結婚した「スラムの天使」プラティープさんについても初めて知った。2014/12/14
Degawa
0
赤シャツ 赤の人の実情の一端を見ることができた。作者のちょっと左翼っぽい感じが鼻についた。 2013/07/05