出版社内容情報
「希望は自分のなかにある」。毎日新聞に掲載された名物書評が待望の書籍化! 養老先生が今、本を通して人びとへ伝えたいメッセージとは。
内容説明
「『本当の自分』など、わかりはしない。それを昔から希望と呼んだのである」いまを生きる人びとへのメッセージが詰まった、究極の読書ガイド。
目次
1 「見る目」が変われば世界が変わる“自然”(虫が教えてくれること―『カブトムシと進化論』;クジャクで考える男女問題―『クジャクの雄はなぜ美しい?』 ほか)
2 知れば知るほど自由になる“科学”(「氏か育ちか」の答え―『遺伝子神話の崩壊』;細胞は思い、悩み、決断する―『細胞の意思』 ほか)
3 希望は自分のなかにある“社会”(四百万人の若者へ―『脱フリーター社会』;文明の存亡を分けるもの―『文明崩壊』 ほか)
4 人生は一つの作品である“人間”(ただの人が行き着いた境地―『人生があなたを待っている』;困難に立ち向かう行動力―『医者、用水路を拓く』 ほか)
著者等紹介
養老孟司[ヨウロウタケシ]
1937年生まれ。東京大学名誉教授、医学博士、解剖学者。東京大学退官後、北里大学教授、大正大学客員教授を歴任。京都国際マンガミュージアム名誉館長。1989年、『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞、2003年、『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mukimi
131
養老孟司氏による読書案内。読みたい本爆増。最近本棚整理をし、自分の読書は、生きづらさに寄り添い不器用な自分に知恵を与え不安や不満を宥めてくれるマイナスをゼロにする読書と、ゼロからプラスへ積み上げる自己拡張の読書に分けられると考えた。本書は主に後者の本の紹介だと考えながら読んでいたが筆者の言葉には前者の癒しと知恵も盛り込まれており結局、筆者程の人生経験豊かな思想家を前にすれば読書を分類する必要はなくて、自然、政治、文化等凡ゆる事象に興味を持ち自己を投影させることが「自分を知る」ことに繋がると考えるに至った。2024/01/12
tamami
53
特定の著者に弱いというのが、自分の読書傾向の一つ。本書の著者、養老孟司先生などもその一人。というわけで、今回は養老先生の毎日新聞連載の書評本。やはり自然科学分野の本、新書や撰書など手頃なものが多く、科学をみんなのものにという著者の気持ちが伝わってくる。これまでの常識をひっくり返す、そんな感じの本が多く採られている様にも思う。『「あの世」と「この世」のあいだ』、『自然はそんなにヤワじゃない』等、積読本から見つけては徳をした気分!になる。殊に後者は諏訪湖が研究対象。地元にいても知らないことがまだ沢山あるのだ。2022/03/08
ニッポニア
52
全ページ噛み締めるように読む。教養の権化、養老先生の書評、文章の持つ知識量に圧倒される。以下メモ。ダーウィン、種の起源は人為淘汰から始まる、キャッサバの育種はその典型。進化論は学者が熱くなりやすい分野。いかに個性尊重を説いても、人々に人を見る目がなければそれまでである。ミミズに関心を持つ人がもう少し増えたら、世界がその分広がるはずである。細胞は思い、悩み、決断する。我々は道具を作る、その後、道具が我々を作る。ドーパミンと別れて幸福を得る。本当の自分などわかりはしない、それを昔から希望を呼んだのである。2023/11/18
Roko
29
今まで知らなかった本についての養老先生の言葉は、どれも好奇心に満ちているのです。「こんなことを研究している人がいる」「こんなことを考えたこともなかった」、そういう発見を楽しんでいるのだなという気持ちが伝わってきます。時には「こんな本読みたくなかったんだけど」みたいなこともおっしゃるけど、でも知らずにいることができなかった。という言葉にホッとするのです。読書は、知らない世界へ導いてくれるものです。だから、この本で紹介されていた本を読むことで、また違う世界へ旅することができると、確信しています。2022/10/14
さきん
28
人間は好奇心の塊。果ては、自分は何かという答えようない問いまで求めている。花粉症やアトピーは常在菌が少なくなって免疫力が下がっているからという感じがやはり強い。脳みそを独り歩きさせず、体全体をバランスよく使うことが恒常的な体の不調を抑える。新聞の連載をまとめた内容。2022/04/28