出版社内容情報
小学校5年生の春。学校医(花丸先生)が健康診断のあとに落とした聴診器を、ぼくたち3人組が拾う。ぼく(神林祐樹)はすぐに先生に返そうと思うが、ウガくんこと宇賀神豪大がおもしろ半分にこれを持ち去る。翌日、ウガくんから「あげる」と聴診器を手渡されたぼくは、先生に返す勇気が出ないまま時間だけが過ぎってしまった。夏休み。ぼく、ウガくん、そしてカミーの3人は、森へ昆虫採集に出かけた。そこでぼくは思わぬけがをしてしまう。近くのクリニックに駆けこむと、そこはあの花丸先生のクリニックだった。思いがけない先生との再会だったが、温厚な花丸先生との語らいに、心をひらき、そして良心の呵責を覚える子どもたち。先生はひとことも叱ろうとせず、おまけに3人を「神様」とよぶのだった。先生との出会いを通して子どもたちはどのような心の変化と成長を遂げるのか。詩人、谷川俊太郎の詩を織り交ぜながら描かれる子どもたちと老医師との心の交流の物語。
【目次】