出版社内容情報
最新の科学が明らかにする宇宙の姿は般若心経の世界観そのもの。日本を代表する理論物理学者による感動人生論。
内容説明
時間とは心のなかでつくられている幻想のようだ―科学のまなざしで読み解く「般若心経」、感動の宇宙講義。
目次
第1章 「自分」はどこにあるのか(自然の分身;人生究極の問いかけ ほか)
第2章 般若心経の世界(般若心経の成り立ち;言葉を唱える ほか)
第3章 現代宇宙論から見た般若心経(夜はなぜあるのか;光から生まれるもの ほか)
第4章 人生と宇宙時間(宇宙カレンダー;生きるという壮大な体験 ほか)
第5章 人生の行く先(プラネタリウム;星を見ること ほか)
著者等紹介
佐治晴夫[サジハルオ]
1935年東京生まれ。理学博士(理論物理学)。松下電器東京研究所主幹研究員、東京大学物性研究所、玉川大学、県立宮城大学教授、鈴鹿短期大学学長などを歴任、現在、大阪音楽大学客員教授、北海道・美宙(MISORA)天文台台長。量子論的無からの宇宙創生に関わる「ゆらぎ」の理論研究、NASAのボイジャー計画では、地球文明のタイムカプセルとしてバッハの音楽を搭載することの提案などで知られる。また、宇宙研究の成果を平和教育の一環として位置づけたリベラルアーツ教育を全国的に展開している。日本文藝家協会所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
江口 浩平@教育委員会
32
【仏教】東京にある本屋「読書のすすめ」の清水克衛店長が「成幸読書」の8月号で選んでいたため手に取った一冊。これまで仏教徒による般若心経に関する本は何冊も読んできたが、物理学の視点で解釈したものは初めてで、とても興味深かった。般若心経がめざすところは、「すべては心次第」ということへの気づきであり、道元が「火を噴く今」と表現したように、「かけがえのない一瞬を百パーセントあるがままに受け入れ生き切ること」が大切であるという。「これから」が「これまで」を決める。そう信じて前向きに進んでいこうと思える良書。2019/10/28
zag2
22
物理学のものの見方を援用して、般若心経を理解しようという趣旨はよく分かりました。客船飛鳥Ⅱの船内講義を依頼され、その時に話した草稿をもとに手を入れたものということで、本として読むには少し物足りない感じが残ります。何十年も前になりますが、松下眞一さんの「法華経と原子物理学」を読んだ時のような感動を期待していたのですが…2021/10/08
WAKUWAKU
5
全てを今の自分では理解し切れないですが、それでいいんだと思います。今を大事に生きる事。全てはひとつ、争う理由などない事。起こる事自体には良いも悪いも無く、意味付けしているのは人の心である事。これだけで充分触れた甲斐がありました。2020/03/31
ユミセツカヤ
4
東急電鉄のフリーペーパーSALUSで著者を知り、手に取った。魅力的だったのは般若心経と科学と天文学を絡めていた事。すべてはつながっている。そしてちっぽけな存在ではありながらも生きている人間である事、人間だけでなく物質や天体も「共存」している事などを知れた。金子みすゞや宮沢賢治、まどみちおの詩も引用されていたのも、著者の広い知識と教養を窺い知る事ができて良かった。本当の「知性」に触れられた気がした。2022/10/15
良さん
4
物理学も究極までいくと哲学や宗教に近づくし、哲学や宗教も極めていけば宇宙の神秘に近づいていく。文系理系という区分がいかに馬鹿馬鹿しいものかが分かる。般若心経を何度も読んでかみしめたい。 【心に残った言葉】ところで俳句は五、七、五ですね。5と7の比率は1.4、これはルート2=1.41421356……に近い比率です。実は、日本の美意識にはルート2が大きな役割を演じています。法隆寺の五重塔や中門の屋根の幅の比率、夢殿の白壁の縦横比など、すべてルート2です。(179頁)2020/02/24