出版社内容情報
クラゲ研究の権威が、死なないクラゲの体と生態を徹底解剖!生物の進化を辿りながら、全人類の夢、「不老不死」のメカニズムに迫る。
久保田信[クボタシン]
著・文・その他
内容説明
クラゲ研究の世界的権威が明かす、奇想天外なクラゲの一生。
目次
第1章 死なないクラゲ、現る(地味にスゴイ!不老不死クラゲ;老いない秘訣は紅色にあり!? ほか)
第2章 ベニクラゲの一生(クラゲはずっと“クラゲ”なわけではない!?;クラゲたちの複雑怪奇な成長過程 ほか)
第3章 ベニクラゲとの日々(運命の出会い;すべての原点は海にあり ほか)
第4章 若返るベニクラゲ(日本産だって若返る;突き刺し実験で急所を発見 ほか)
第5章 人間は不老不死になれるのか(死の起源、不死の起源;ベニクラゲと人間のつながり方 ほか)
著者等紹介
久保田信[クボタシン]
1952年愛媛県生まれ。海洋生物学者。愛媛大学理学部卒、北海道大学大学院理学研究科修了。北海道大学理学部助手・講師、京都大学フィールド科学教育研究センター准教授を経て、現在は、自ら設立したベニクラゲ再生生物学体験研究所所長。クラゲをはじめとした刺胞動物門ヒドロ虫綱の系統分類学を専門とする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にしがき
13
👍👍👍 若返りをする不思議なクラゲ、ベニクラゲについて、その研究者が書いた本。若返るといっても、どうも必ずとい訳ではなく、一定の条件はあるらしい。が、それでも不思議。そもそも、クラゲはクラゲ世代の前に植物のようなポリプ世代があって、クラゲは有性生殖するが、ポリプは無性生殖でクローンを作っていくというのも不思議すぎる。ポリプからクラゲ芽が伸び、一つの芽から1〜数体のクラゲが誕生するとか淡々と書かれているけど、いや、不思議すぎる。生物多様性万歳。2021/07/13
jackbdc
9
ベニクラゲ研究世界的第一人者による入門書。若返る不老不死の動物が存在する事は驚きであり希望でもある。著者は人間への応用可能性について肯定的見解を示す。人間の寿命を左右するテロメアの再生等にクラゲ研究からのフィードバックが期待できるかもしれないと云う。それを知ると無関心だったクラゲの生態に俄然関心が増してくるのであった。印象に残った点3つ、1.クラゲと人:昆虫より近縁らしい、2.若返り:生命の危機がきっかけで発動する、3.研究生活:生命個体の採集飼育や実験について心身負担はブラックなんてもんじゃなさそう。2021/12/30
サトゥルヌスを喰らう吾輩
8
クラゲというのは始めからクラゲなのではなくポリプ世代を経てクラゲ芽からクラゲになっていくのですね。飼育がものすごく大変そうですが、面白そうな研究でした。ミズクラゲも若返り例があるというのは驚きです。研究の成果はともかくヒトという種は不老不死に値するのかといった問いや3.11の原発事故以降福島県、茨城県産のクラゲに奇形が発生しているという報告など、哲学的/社会的な問いもはらむ一冊。2019/03/17
jjm
6
不死というと火の鳥、ガリバー旅行記のストラルドブラグ、ジョジョの奇妙な冒険のディオを思い出すが、人類は本当に不老不死になりたいのだろうか。人類の行く末を見届けたいという気持ちはあるが、周りの人がいなくなってしまうのに、死にたくても死ねない恐怖というのはありそうな気がする。ちょっと若返って、という程度であればいいかなぁと思うが、私が生きている間に仮に技術が確立されたとしても、100歳が80歳に若返るくらいでは、ううむ、どうだろうか。2020/09/02
いさな
3
ベニクラゲの不老不死に興味があったので即買い。内容はベニクラゲがなぜ不老不死なのかについてというよりは(それはまだよくわかってないらしい)ベニクラゲの研究の軌跡といった感じだった。あとベニクラゲが若返る過程とか。まだまだ謎が多いようだけど、不老不死のロマンは無限に広がる。それと、ベニクラゲの不老不死を人間に適用させる方法は存在するはずだとしながらも、人間が不老不死に値するかどうかは別問題だという筆者の考えに大賛成。「地球上の隣人を蔑ろにして永遠に居座り続けることに、はたして価値が認められるだろうか。」2019/01/26