内容説明
公開された類例のない年代記「昭和天皇実録」を徹底的に読み抜き、著者自身の深い識見と膨大な資料によって拡充し、昭和天皇の戦争体験の未知なる真実を明らかにする。昭和という時代からのメッセージを日本人全体に託す、著者のライフワーク、第1巻。
目次
序章 日本人への新しいメッセージ(『昭和天皇実録』を読むための前提;「民」の側の視点で理解する;日本人への新しいメッセージ)
第1章 太平洋戦争 開戦(開戦に至る昭和天皇の心理―「反対・懐疑・決意」;非戦への強い意思表示;天皇を追いつめる軍事指導者たち ほか)
第2章 太平洋戦争 戦時下(懊悩する戦時下の天皇;木戸幸一を相手に戦争終結の形を模索;天皇への“偽りの報告” ほか)
著者等紹介
保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年、札幌市生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。ノンフィクション作家。評論家。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。昭和史の実証的研究のためにこれまで延べ4000人の人々に聞き書き取材を行い、独自の執筆活動を続けている。第52回菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よしひろ
8
昭和天皇を間近で見てきた木戸幸一の存在は大きい。東条英機による独擅場を天皇はどんな心境で見守っておられたのか。理知的な文章。2016/02/03
こまったまこ
4
『昭和天皇実録』の要所要所を引用し、それについての考察と丹念な解説、著者の見解で構成されている。実録は側近や軍人・政治家等の日記や書籍、新聞などあらゆる文献を参考にして編まれている。その中には未公開の文献もあり、今まで分からなかったことも明らかになっている。宮内庁書陵部が「昭和天皇像を明確にし、それにもとづいて記述」しているので実録は未来の為に書かれているようだ。この巻では開戦前から戦時中における天皇の懊悩する姿が描き出されている。陸海軍の総長は天皇に虚偽の報告をし続けて良心の呵責はなかったのだろうか。2016/04/12
N.T
3
昭和史に関わる人物への聞き書きで著名な筆者による「昭和天皇実録」の検証本。 一般人が読むにはあまりに膨大な「実録」を丹念に読み込み分析している。 非常に多くの資料を元に編まれた後世への歴史的報告文書とも言える「実録」はその特性故にそれを読み、理解するには編者の意図を正しく理解する必要があるという。 「実録」やその他の文献を手元に置きながら検証過程を追えれば面白いのだろうがそれも中々叶わないのがもどかしい。 1巻は開戦に至る経緯と終戦に向けた歩みまで。2016/03/20