内容説明
おのれの悪を凝視し、絶望的体験の地底から恐るべき記憶と無類のユーモアを武器に、日本人再生の希望を掘りおこす。迫真のライブ・トーク。
目次
第1章 弱き者、汝の名は人間なり(人は弱し、されど強し;虎屋の羊羹、銀座のネオンで殴られる;ジェノサイド(集団殺戮)そのものの東京大空襲
生き地獄―戦友を蹴落として生き延びる
悪を抱えて生きること
語りえなかった引き揚げの真実)
第2章 善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや(極限状態で交錯する善と悪;二度目の撃沈と敗戦;涙の漫才修行―人生に無駄はない;日本の植民地支配の爪あと;語られない引揚者の悲劇―残留孤児と不法妊娠;右へ左へ揺さぶられ続けるのが人生)
第3章 心の貧しさと、ほんとうの豊かさ(肉親の死を身近に感じる大切さ;お金という魔物;学内闘争でつるし上げられる;わが青春の登呂遺跡発掘;人は泣きながら生まれ、時に優しさに出あう;経済的貧困と貧しさとの違い;金では買えない「誇り」を抱いて)
第4章 人身受け難し、いますでに受く(人生の峠道でたたずむ;人間性と謙虚さ―前田青邨先生の教え;斜陽館での一夜―師匠と弟子の『人生劇場』;赤線とドジョウすくい;想像力の欠如と「心の教育」;人間として生まれた奇跡と幸運;なぜ人を殺してはいけないのか)
第5章 人間は、ひとくきの葦である(「負け組」などいない;辛いことも直視する勇気をもちたい;時には黙ってただ寄り添うことも大事;潔癖すぎる現代社会;だれにでもある不安やコンプレックス;弱き者たちへ―人は皆、それぞれの生を生きる)
著者等紹介
大塚初重[オオツカハツシゲ]
1926年(大正15年)東京都に生まれる。45年に輸送船が二度撃沈され漂流、九死に一生を得る。復員後は働きながら明治大学の夜間部に学び、同大学院文学研究科史学専攻博士課程修了。日本考古学界の第一人者として、登呂遺跡や綿貫観音山古墳をはじめ、多くの発掘を手掛ける。日本考古学協会会長のほか、文化庁文化財保護審議会専門委員、日本学術会議会員、山梨県立考古博物館館長等を歴任。明治大学名誉教授、登呂遺跡再整備検討委員会委員長。2005年瑞宝中綬章叙勲
五木寛之[イツキヒロユキ]
1932年(昭和7年)福岡県生まれ。生後まもなく朝鮮にわたり、戦後47年引揚げ。66年「さらば、モスクワ愚連隊」で第6回小説現代新人賞、67年「蒼ざめた馬を見よ」で第56回直木賞、76年「青春の門」筑豊編ほかで第10回吉川英治文学賞を受賞。英文版『TARIKI』が2001年度「BOOK OF THE YEAR」(スピリチュアル部門)に選ばれた。02年に第50回菊池寛賞、04年に第38回仏教伝道文化賞を受賞。現在直木賞、泉鏡花文学賞その他多くの選考委員をつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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