内容説明
帝銀事件死刑囚・平沢貞通は、いつ処刑されるとも知れぬ恐怖の歳月を、ただ無実への執念によって生き抜いた。95歳、獄死までの運命との凄絶な闘いの記録。
目次
第1章 私はこうして帝銀犯人にされた(運命を変えたモカのコーヒー;隠されていた3度の自殺未遂;37号調室、屈辱の日々;私の無実は証明されている)
第2章 死の淵から―絞首台と対した32年(処刑告を待つ日々;鉄格子の窓から;絞首台のある地にて)
第3章 我が生涯―テンペラ画家・平沢大〓
第4章 獄中14142日―無実への執念
後記 平沢の生と死を見つめて(平沢武彦)
平沢貞通関係年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
182
犯人だと決めつけられるうちに、犬養毅や高橋是清を殺したのも自分だと言い、自殺を三度試みている。そんな状態での自白が証拠になるのだろうか? 最も緊迫したのは死刑推進派の中垣法相の時で、死刑執行は時間の問題と思われたのを、支援する議員達が法務委員会で法相に食ってかかって何とかくい止めた。その後、恩赦や再審請求が何度も棄却され、妻が亡くなり、支援活動を支えてきた森川哲郎が亡くなり、本人が亡くなり、養子の武彦が亡くなり…多くの人の希望を突き放しながら今に至る。日本という国の異常さは今も続いているように感じられた。2025/02/02
駄目男
12
39年の長きにわたり独房から無実を訴え続けるなんざ、尋常ではない。真犯人なら先ずできまい。。それ故、私も昔から冤罪だと思っている。昭和39年の映画らしいが『帝銀事件』を見たことがある。ラストにはドキュメンタリー的に無実を仄めかす内容だった。「名張毒ぶどう酒事件」「狭山事件」「下山事件」もそうだが、どうも司法判断が間違っていると思っている。本来獄中死という判決はないのだ。平澤氏は95歳で、30キロにも満たない体重になっても恩赦は敵わず、何代もんの司法大臣はハンコも押さなければ釈放もせず、2020/09/30