内容説明
東京の広告代理店に勤める43歳の涼子は、3歳年下で美容師の夫・孝之と結婚して13年。毎日の生活にうっすら不満を抱えつつ、表面的には凪いだ日々を送っていた。ところが、20代の美登利を美容院のアシスタントとして招き入れたことで少しずつゆらぎが生まれて…。気づかぬうちに“深い川”に隔てられた二人は再び漕ぎ寄ることができるのか?夫婦、そして、男と女の心理を細密に描き出した傑作長編。
著者等紹介
村山由佳[ムラヤマユカ]
1964年東京都生まれ。93年『天使の卵―エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞。2003年『星々の舟』で直木賞、09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、島清恋愛文学賞を、21年『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
259
村山 由佳は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、格差婚W不倫破綻物語、前作よりも著者デビュー30年記念作品に相応しい感じでした。サプライズがあまりなく予定調和でしたが、これで良いのでしょうか❓ https://mainichibooks.com/books/novel-critic/rowrow.html 【読メエロ部】 本書で3月は読了です。2023/03/31
のぶ
157
村山さんの恋愛小説にどっぷり浸った。主人公は夫の早瀬孝之と妻の涼子。涼子は広告業界のキャリア女性。自宅兼の美容院を営む三歳年下の孝之より収入は多い。仕事は充実しているけれど、夫との間には夫婦生活はずっとない。ある日、孝之が20代の美登利を美容院のアシスタントとして招き入れたことで少しずつゆらぎが生まれてくる。冒頭に恋愛小説と書いたが、不倫小説といった方が正しいかもしれない。ストーリーは自分の想像したように進んで意外性はあまりない。夫婦のどちらがいいとか悪いとか関係なく、不倫では幸せになれないと思った。2023/04/13
モルク
134
広告代理店に勤めるバリバリのキャリアウーマン涼子。結婚13年、郊外の夫が独立し開いた美容室の店舗兼住宅に住むが、家に彼女の居場所はないと感じている。彼女に劣等感を抱く年下の夫、その夫に愛人が…妻にさえばれなければうまくいくと思っている夫、でも妻は夫の少しの変化を見逃さない。が、それを直接夫に問いただせない涼子。性格的に私に似ているかも。だから共感するし応援する。でも自由になるために夫以外の男と…というのはちょっと違うよ。夫の無神経で幼稚な考えに涼子と共に腹をたてる。のめり込んでほぼ一気読み。2023/07/21
machi☺︎︎゛
115
結婚13年目の孝之と涼子。子供はなくても夫婦として表面上は問題なく過ごしていた。だけど実際には孝之はキャリアウーマンの涼子に対し劣等感を抱いていたし、涼子は孝之との暮らしに居場所がないと思っていた。そんな2人の暮らしを孝之のロード仲間の1人の女が変えていく。お決まりの流れなんだけど2人の終着点が気になり一気読み。やっぱり同じ女性として涼子に肩入れしてしまう部分はあるけど、それを差し引いてもこんな男まじ嫌だな。そして女は強いと思った。2023/07/13
じいじ
105
そもそも、この夫婦は結婚してはいけなかったのです。冷めた夫婦に、W不倫が起きるのも必然でした。夫婦のどちらにも私は共感できませんでしたが、533頁の長編に小説としての面白さはたっぷり味わいました。それにしても、さすが村山さんは夫目線での、オトコのうちに潜む細かい心情描写が,憎らしいほどお上手です。2023/10/06