内容説明
ある町で突如発生した連続通り魔殺人事件。所轄の刑事・中島と捜査一課の女刑事・小橋は“コートの男”を追う。しかし事件は、さらなる悲劇の序章に過ぎなかった。“コートの男”とは何者か。誰が、何のために人を殺すのか。翻弄される男女の運命。神にも愛にも見捨てられた人間を、人は救うことができるのか。人間存在を揺るがす驚愕のミステリー!
著者等紹介
中村文則[ナカムラフミノリ]
1977年、愛知県生まれ。福島大学卒業。02年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞を受賞。05年『土の中の子供』で芥川賞を受賞。10年『掏摸』で大江健三郎賞を受賞。『掏摸』の英訳が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの2012年年間ベスト10小説、米アマゾンの月刊ベスト10小説に選ばれる。14年、ノワール小説に貢献した作家に贈られる米文学賞デイビッド・グディス賞を日本人で初めて受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
334
中村文則全作品読破プロジェクト。今回は最新刊「あなたが消えた夜に」です。これで14/16。著者初の警察小説という体裁で第一部はノーマルな発進かと思いきや、第二部、第三部と中村文則ワールド炸裂でした。やはり警察小説の枠の中に著者の想いは納まりません。一言でいうと「精神錯乱の警察小説複雑系」という感じです。一般的なミステリファンにはあまり評価されないと思いますが、今年のミステリBEST10にはエントリーしたいと考えています。2015/06/03
風眠
226
人間がもつ弱さは心の闇を生み出し、逃れようのない日常の中で人は病んでいく。心から分かりあえる「あなた」に出会って、そして「あなた」は消え去る。夜の闇に溶けるように、ひらりと消え去る。「あなた」は私、あの日の少年、愛した人、それとも神様。「あなた」が消えた夜に「私」の世界は崩れ去る。逃れたい、死にたい、そんな心の裏には、生きたいという想いがある。そんな切羽詰まった想いが心の弱さに傾き、連続殺人犯の「コートの男」という架空を生み出す。罪の無い人間などいない。善も悪も、強も弱も、すべては人間の心の中にある。2015/10/04
ナイスネイチャ
218
図書館本。中村文則さん読んだ中で一番かも。通り魔事件を解決していく話。最初は普通のミステリーかな?と思ってたらもう3章になると中村ワールド炸裂!!歪んだ愛情、性、暴力。もう登場人物闇抱えすぎ。よくこんな内容思いつくなぁ。2016/01/30
mmts(マミタス)
200
限度を越えてしまった愛情は、もはや大恋愛でも純愛でもないでしょうね。むしろ、一方通行の片想い状態、恋に酔いしれているナルシストでしょうか。一方的な独占欲、嫉妬心はいずれ自分自身が抜け殻みたいになりますから。サイコパスみたいな猟奇的な通り魔だと思いきや、狂おしいほどの愛するものへの執着心でした。人間ですから、ある程度は嫉妬心で怒り狂いますからね。その辺の描写は上手いと思いました。愛されないトラウマから、そのまま過度な愛情によって地獄絵図になるんですよ。もちろん、知らない方が良いことですけどね。2016/07/27
紫綺
172
あなたが消えた夜に、あなたが消えた夜に、過去を病んだ誰かが狂っていく。連続と思われた通り魔事件。その裏には、歪んだ愛のドロドロとした連鎖が絡んでいた。中島と小橋の跳んだ掛け合いが面白い。2015/10/12
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