内容説明
なぜ生きるのか?なぜ愛するのか?人が他者を、自らを支えきれなくなった時代、「生と性」の意味を問い続けてきた著者が贈る、渾身の感動長編!孤独の中を生きてきた男女が辿りついた場所とは―現代人の心の襞の奥底に踏み込む、濃密な心理サスペンスの誕生。
著者等紹介
小池真理子[コイケマリコ]
1952年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。1989年「妻の女友達」で第42回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、1996年『恋』で第114回直木賞、1998年『欲望』で第5回島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で第19回柴田錬三郎賞、2012年『無花果の森』で第62回芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)、2013年『沈黙のひと』で第47回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
131
直木賞受賞作『恋』以降、約20年間に渡って小池真理子の著作はコンスタントに読んでいます。本作は著者ならではのラヴミステリで500P一気読みしました。ある程度結末が見える展開でしたが、最後の長文の手紙から、希望の感じられるラストまで良いエンディングでした。高齢化がどんどん加速しているので、シニアの恋愛は益々増加するんでしょうね。他人事ではありませんが(笑)2015/06/26
みんと
76
小池真理子さんの長編恋愛小説。 やはり上手だなと感じた。 できるなら寒い季節に読みたかったな。 失踪した精神科医はいったい何者だったのか、どのような事情があったのか。 彼にとっての鏡子との過ごした時間は何だったのか。 行方を追う鏡子に思い切り感情移入しながらページを捲った。 最後の長い手紙も鏡子への思いと真実が嘘なく綴られていて、それを受け入れた上での新たな生活の始まりに嬉しい気持ちになった。2016/05/11
キムチ
74
何で今時、モンロー?という意が暫く読んで納得。大きな伏線になっている。三島作品から鏡子を引っ張っていることも作戦?もっとも雰囲気的にニヒリズムはおよそ縁遠いけれど。軽井沢、精神科、文学に造詣の深いシニア女性・・ふとしたきっかけ⇒ひたひたと駆けるロマンス街道。しじまの中での果てしない抱擁~あ~やっぱこの路線かと思いきやミステリー?がプチプチはじけていく。こうなったら面白い。とは言え鏡子さん、名が体を表すじゃないけれどお相手との精神関係も「鏡」がお好きなようで。2015/12/13
ゆみねこ
73
精神のバランスを失った、孤独な境涯の鏡子。彼女を救ってくれたのは、近くのクリニックのアルバイト精神科医。やがて深く関わるようになったその医師が連絡を断ち、彼の行方を追う過程で分かったこと。。ヒロインと同世代の自分にはとても身につまされることも多々、小池さんの美しい文章に引き込まれて一気に読了出来ました。素敵な1冊。2016/04/04
barabara
71
最高に面白かった!隠れた人気本なのも納得。人里離れた場所で人目を避けてるかのような、現代ではほぼ忘れかけられてる作家の文学館を一人きりで真面目にきりもりする鏡子。そんな鏡子が奈落に落ちていくように精神を病み、そこで出会った精神科医と恋に落ち、最後は結局精神を病んでしまうのが何ともやりきれないが、還暦間近の初老の恋が何とも激しくて、キュルキュルと空を舞いながら、どうしようもなく落ちていく様子がたまらない。そしておもわぬ展開のミステリ仕立てが相乗効果で二倍三倍面白い。久々小説という小説を読んだ気がする。2016/01/24