内容説明
築50年の団地に移り住んだ平成の青年・安彦くん。間取り2K、家賃3万8000円。いま、めぐりあう不思議な“昭和”。なつかしさいっぱい、謎いっぱい、著者初の団地小説!
著者等紹介
長野まゆみ[ナガノマユミ]
東京都生まれ。1988年『少年アリス』で文藝賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
95
団地・公社についての話でした。エッセイかなと思ったらそうではなくて、不思議な語り手にへぇという感じでしたが、小説ではないですよね。団地に住むということを前提に、色々語られています。団地に住んだことがないので新鮮なことばかりでした。ただ、基本団地の蘊蓄なので、ストーリーはないので、何か淡々と本編に入らない話という感じは否めません。2016/02/09
巨峰
75
団地生活を縦軸に、昭和からやがて平成へとうつる日本人の暮らしの変遷を描いた読み物。いろいろ興味深い。意外なところで話が終わるのでもう一山あってもいい気がしたがそれしてしまうと違う話になるかもだから、これはこれで面白かった。僕の物心つく前の昭和の暮らしが興味深かったな。洗濯板とかみたことないもん。100年後の文化人類学者が、昭和時代の日本人の人々の生活を研究するのによい文献資料となることでしょう。2016/05/24
あじ
75
図書分類は913.6ですが、限りなく914番台に近い感覚の小説。団地に住みたいとお考えの方への指南、取扱い説明書といった内容。昭和の暮らしに邂逅を寄せる身としては、たまらない空気感がある。小説が読みたくて手にとった方には不向きのよう。雑学本だと思えば為になる。安易な気持ちで、団地に住もうと考えない事ですね。平成生まれは特に準備が必須。人間関係や老後の記述を読むとかなりハードルが高い。誤解していたのは家賃。意外とシビアだったりして。価格設定を低めに考えていたので、憧れが見事砕かれ現実を突きつけられました。2014/06/30
あつひめ
70
小説…う~ん…小説かあというちょっと分類するには難しい感じかなと思った。団地は、長屋の借家に住むものには憧れだったと思う。私も憧れて眺めていた一人だ。お勝手よりもお台所…という響きがテレビドラマに出てくるようなおしゃれな家族みたいで。最近、興味を持って道営や市営住宅を調べているが、こじんまりとした部屋の作りが慎ましい暮らし向きにあってる気がした。団地のルール(階段掃除など)は、昭和的で、向こう三軒両隣の今は失われそうな人間関係を今でも守っているのも、希薄な人間関係を改めるにはいいんじゃないかな…と思った。2014/12/04
藤月はな(灯れ松明の火)
63
昨今、団地の一室を3千万円くらいでリフォームして住むことが流行っているそうな。団地のあれこれを著した小説風味(?)。ただ、団地に住んでいた高度成長期に幼少期を過ごした年代と平成生まれの違いを出すためか、「安彦君は本当に私と同年代なのか・・・?」と思われる所が多くあって平成生まれのことを無知だと馬鹿にされているようでむっとしました。流石にがまぐちとかティッシュペーパーが流れないことは知っているし、昭和の暮らしもちびまる子ちゃんやサザエさんで知っている子は多いと思います。給水塔のことについてもポイントなのにな2014/08/06