内容説明
作家であり、よき旅行家であるシュルーダー。本書は、世界各地でめぐり合った思わぬ出来事、さまざまな人生を、“スイス・メイドの不思議な間合い”で描いた短篇小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
70
夢みたいだけど、ディテールに現実味がありすぎる短編集。語り手が国内外を飛び回るので「母の手」は内戦状態にある中で車を走らせる身重の母親の逞しさに敬礼。「ケニアラング」は一体、何を見たの?「リポーター」は韓国映画『タクシー運転手』、「順応してしまった男」はヨーゼフ・メンゲレ、「大統領」はイディ・アミンを連想してしまう。そして「サディック、頼むよ!」と「私がおつなぎします」の大格闘とその労力には合わない呆気なさに爆笑。本編後に読んだ訳者あとがきで「物語全てはほぼ、作者の実話」というのに納得。2018/08/03
kinaba
1
短編集。内線地帯の案内手の女性を描く『母の手』と、朝靄のゴルフ場に消えていった『完璧すぎたショット』、の2編が好き。全体を貫くテーマとしては、「今風の」異国情緒といったものを感じた。よい一冊2011/02/05