出版社内容情報
「人生最悪の日ですか?」
街角で黒猫に訊かれたら、
それは不思議な図書館への招待――
結婚式を目前にして恋人に振られた千紗は、同時に仕事も住む場所もなくして不幸のどん底にいた。そんな千紗に声をかけてきたのは、路地裏の一匹の黒猫――人生最悪の日かと黒猫に訊かれ、やけくそ気味に「そうだ」と答えた千紗は、気がつくと不思議な図書館に。自分の人生を一冊の本に書きあげるまで出られないと言われるが、そこには千紗同様迷い込んできた、個性豊かな人たちがいて……。
内容説明
結婚式を目前にして恋人に振られた千紗は、同時に仕事も住む場所もなくして不幸のどん底にいた。そんな千紗に声をかけてきたのは路地裏の一匹の黒猫―人生最悪の日かと黒猫に訊かれ、やけくそ気味に「そうだ」と答えた千紗は、気がつくと不思議な図書館に。自分の人生を一冊の本に書きあげるまで出られないと言われるが、そこには千紗同様迷い込んできた、個性豊かな人たちがいて…。
著者等紹介
柊サナカ[ヒイラギサナカ]
香川県生まれ、兵庫県育ち。第11回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉として、2013年に『婚活島戦記』で作家デビュー。2019年の『人生写真館の奇跡』(以上、宝島社)は世界29カ国での刊行が決まっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
164
結婚式を目前にして恋人に振られた人生最悪の日に、黒猫によって不思議な図書館に導かれた千紗。図書館を出るには自分史の本を書き上げなければならない。その図書館、様々な理由で人生最悪の日だと思った人達も迷い込み、それぞれが自分を見つめ直す。ただ単純に、それぞれが自分を見つめ直しながら、自分史を書いて図書館を出る物語ではなかった。ウルウルシーンあり、更に見事な伏線回収、一気読みできる面白さ。今、この世の中で満足してはいけないんだ、将来を考えて、未来を豊かにしようと伝えるような美しい物語だ。2025/06/19
Ikutan
65
「人生最悪の日ですか?」婚約者と親友に裏切られ、仕事も家も無くなった千紗。おまけに鞄ごと財布もスマホも盗まれ、途方に暮れていたところ、一匹の黒猫が現れ、いつの間にか、出口のない図書館に閉じ込められる。この図書館を出るには、一冊の自分史を完成すること。時間が存在しないこの不思議な図書館。絶望しかけた千紗だったが、同じように人生最悪の日を経験して、この図書館に迷い込んできた個性豊かな人たちと交流することで、少しずつ前向きになっていく。ああ、そういう繋がりがあったのね。最終話で驚きもあり最後まで楽しめた。2025/07/17
Karl Heintz Schneider
65
「人生最悪の日ですか?」黒猫の質問にYESと答えた瞬間、千紗はいつの間にか自分が図書館にいることに気付いた。婚約者・住むところ・仕事・親友すべてを一瞬で失った千紗はとある図書館に迷い込む。そこでは自分史を書かないと出られないしくみになっていた。「誰しもみんな、自分と言う書物の主人公なのです。」最初は嫌々書き始めた千紗だったが、書き進めるうちに自分の中に埋まっていた想いに気付いてゆく。最終話で千紗はようやく外に出られるのだが中で出会った人々の気配がそこここにあり、特に少女アリスの正体にはビックリ!2025/07/06
天の川
52
「人生最悪の日ですか?」という黒猫の問いに同意すると、異空間の図書館へ。自分史を書き上げるまで出ることはできない。無限にある本はすべてこれまで滞在した人々が書いた自分史。お茶の時間以外、私語は厳禁。図書館にいる人々は皆、人生最悪と思っている人々。自分史を書くことは心の整理。いつか俯瞰してその事態を判断し、書き上げて図書館を出ていくのだ。出ると忘れてしまう図書館での記憶…でも心の奥底に勇気が潜む。時間軸のねじれの中、最後の人類の悲痛な祈りが託されていた。結末に妙に納得。2025/09/02
オセロ
49
人生のどん底を味わった仲間たちと言っても年齢も性別も図書館での過ごし方もバラバラ。そんな彼女たちがふとしたことから交流が始まり、それぞれの最悪の出来事を明らかにして、価値観が変わっていくというあらすじから予想出来る内容なうえに、どうしても某作品と被ってしまうんですよね。 司書さんのことや図書館のタブーのことなどまだまだ掘り下げられるところもあったし、設定が面白かっただけにいろいろ残念でした。2025/05/24