内容説明
ついに警察官人生が終わる退職日の朝、チョプラ警部のもとに想定外の事態が舞い込んだ。放浪癖のある伯父からあろうことか“子象”を相続したのだ。しかも困惑したまま署に到着した警部を待っていたのは少年の水死体。検死解剖もせず事故として処理されたその死に違和感を覚えたチョプラは独自で調査を始めるが、それはインド裏社会をも巻きこむ大事件に発展し…。“元警部と子象”の異色探偵コンビ、最初の事件!
著者等紹介
カーン,ヴァシーム[カーン,ヴァシーム] [Khan,Vaseem]
1973年ロンドン生まれ。ムンバイで10年暮らす。2015年に作家デビューを果たして以来、インドミステリを多数発表。2021年に『帝国の亡霊、そして殺人(原題:Midnight at Malabar House)』(早川書房)で英国推理作家協会賞ヒストリカル・ダガー賞を受賞した。現在はユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの治安・犯罪科学科に勤務している
舩山むつみ[フナヤマムツミ]
東北大学文学部卒業、慶應義塾大学法学部卒業。日経国際ニュースセンター、在日スイス大使館勤務などを経て翻訳の道へ。全国通訳案内士(英語・中国語・フランス語)の資格を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猿吉君
64
引退した刑事が殺人事件を小象を連れつつ追う!という際物的な作品です。①ドタバタ逆的なのかと思いきや殺人事件の闇は深い。②小僧のガネーシャが後半になって活躍すると話が大味に、特にどつくようになると(笑)③チョプラさんの正義感が心地良いものの、もう刑事じゃないのに刑事だと言って捜査するのはちょっとアレです。④奥様とガネーシャがテレビを見ているところが好きです。⑤謎解きというよりもチョプラさんの日常場面が多い。点数75/100→読んでいる時はハマらないなと思ったんですが、読後感が良くて続編出たら読むと思います。2023/08/30
ナミのママ
59
警察を早期退職する日、チョプラ警部は"子象"を相続する。文庫の帯には「元警部と身寄りをなくした子象。異色の探偵コンビ」あるがちょっと違うかなぁ。警部の最後の出勤日に少年の水死体が発見される。この謎解きがメイン。事件は平凡だが、インドの裏社会、腐敗した警察、権力者の汚職、そして貧富の差。これはインドの現実?と不思議に思いながら読み進めた。"子象"の名前はガネーシャ。シリーズ1作目となるようで、人物紹介と設定で終わった感じ。でもこのコンビ面白いから続きが楽しみ。2023/05/23
うまる
29
インドミステリ。退職刑事の相棒はなんと子象!インドの裏社会へ踏み込む話ですが、コミカル要素ありなので、シリアスになりすぎず楽しかったです。ちょうど動物園で生まれた子象が人気なので、こんな赤ちゃん象かもと思いながら読めたのも良かった。インド社会の情勢や人々の暮らしに触れる部分に読み応えがあります。もっと宗教的なこだわりとか、複雑なしきたりがあるものだと思っていましたが、案外信心深くない人も居る様で驚きました。鳥葬というのも知らなくてビックリ。子象の活躍をもっと読みたいので、続編の翻訳に期待したいです。2023/11/24
み
26
さくさくと♪好きな空気です^ ^チョプラ夫妻もガネーシャも、イイです。お話しのスジは、反吐が出る系でしたが、空気のお陰で読後は重たくないです。シリーズ翻訳して欲しい。2023/07/01
Sakie
22
舞台はムンバイ。だからといって冒頭『退職することになっていたその日の朝、チョプラ警部は自分が象を一頭、相続したことを知った』に度肝を抜かれないわけではない。子象とはいえ象は象。さっきからこの文章の漢字変換もまともじゃない。象が出てこなければならない理由は、ない。著者はきっと、新興巨大ショッピングモールのエスカレーターに乗る子象とか、リビングで妻とドラマを観る子象、雨期の洪水により裏庭で溺れかける子象、ムンバイを疾走する子象などを描きたかったんじゃないか。なんで子象なのか。何か企みがあると信じて続きを待つ。2024/08/31