内容説明
高校教師で芥川賞初版本コレクターの私は、ふとしたきっかけで小尾十三の幻の本『雑巾先生』出版の謎を追いはじめる。執念の調査を進めるにつれ、さまざまな事実が解明されていく。しかし、最後に驚くべき結末が待ち受けていた…。表題作をはじめ、古書コレクターたちの情熱や執念・妄想を描く古書小説の傑作集。
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目次
古書ハンター
古書仲間
嗤い声
秘画
掌篇
鎌倉
饅頭本
運
けむり
朝のプラットホーム
北辺の旅
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tom
5
中学の教員をしている退職間際の男の古書コレクターとしての日常を書いた話がメイン。古書コレクターというのは、言い換えると古書フェチということがよく分かる。目当ての本を発見したときの描写は、ほとんど性的エクスタシーそのもの。フェティッシュというやつは、どんなものでも対象になり、性的なものだけが対象になるわけでもなく、どこにも転がっているのだと、妙に実感してしまった。音楽を聴くとか本を読むというのも似たようなもの。こんな意味での面白本ではありました。2013/11/25
akiu
4
古書マニアの悲哀を描いた傑作短篇集。登場人物が皆、収集のきっかけは古書愛からだったのかもしれないが、今はその生活に疲れ、疑問を感じつつも止められない、という人ばかりで、全体的に重苦しく、真綿で首を締められるような閉塞感にあふれていて、素晴らしく気分が沈みました。内容の面白さとは別のところで、金額に換算された書物の価値というものがあり、それらに対して複雑な思いを抱く人たち。中でも、糖尿病で視力を失い、心臓発作で死期へと向かう愛書狂を描いた、「古書仲間」の読後感がどっしりと暗く、深い。2014/10/01
ふみえ
4
時代が少し前なので、物語の底辺には戦争体験あり、ただのマニア話ではなかったです。本自体が貴重だった頃って、そんなに昔ではないな~と改めて思い、時代のスピードが速すぎないか?と気付かされました。2013/10/21
左近
2
古書にまつわる人々の哀感を綴る。受賞作品を確実に入手するため、前もって候補作を隠すせどり屋教師。書店で場違いな位置に置かれている本をたまに見かけるのは、ひょっとしたら、こういう連中の仕業なのかな?表題作では、主人公が復刻本の謎を徹底追究する。興味のない人から見れば理解不能な行動だろうけど、自分はその情熱にわくわくする。コレクションは、コレクター当人が死んでしまえば、遺族にとっては迷惑なガラクタ。以前、お世話になった先生がビール缶を収集していたが、あの大量の缶は、今、どうなってるんだろう、と、ふと思い出す。2013/11/18
にんにん
2
題名からミステリーを想像するが、全く違っていて、所謂、せどり屋と呼ばれる人達が有名な受賞作の初版本を巡って歩く物語。といえば、胡散臭い香具師を想像するが、登場するせどり屋は教員。危ない話も冒険談も出てこない。同時に古書紹介にも期待するが、それもなし。が、真面目なせどり屋の在り方や時代背景がよく描かれていて興味深い。感心させられたのは文章力。特に掌編に入っている「北辺の旅」の情景描写は秀逸だし、「けむり」「朝のプラットホーム」などは小品ながら心温まる話の展開で素晴らしい。受賞歴のないのが不思議なくらいだ。 2013/11/15
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