内容説明
シリアの首都ダマスカスで、CIA局員が拘束された。ラングレーの工作担当官サムは新たな作戦を始動すべく、パリに出張中のシリア官邸職員マリアムに接触する。大統領顧問の参事官で数か国語を操るエリートでありながら、彼女には米国に協力する“理由”があった。やがてマリアムから化学兵器攻撃に関する情報が届くが、ダマスカスでは情報機関が新顔の大使館職員サムの存在をマークし始め―
著者等紹介
マクロスキー,デイヴィッド[マクロスキー,デイヴィッド] [Mccloskey,David]
元CIAオフィサー。中東各国の支局に分析官として在任中、ホワイトハウス高官やアラブの王族にブリーフィングを行なってきた。CIAを退職後、マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントとして活躍、2021年に本書(原題Damascus Station)でデビューし専業作家の道へ
堤朝子[ツツミアサコ]
東京都出身。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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わたなべよしお
29
久しぶりにちゃんとしたスパイ小説を読んだ気がする。とても良かった。冷戦終結後、スパイ小説は舞台やリアリティを失って、設定に苦労することになるが、シリアですか。考えましたね。著者は元CIAの中東分析官。だからと言って、必ずしも面白くなるわけではないが、最上のデビュー作じゃないだろうか。細部もきちんとしていて、確かに恋愛の方は都合が良すぎだが、曲者ダマスカス支局長もいい味をだしていた。次作も読みたい。2023/05/19
stobe1904
23
【シリア内戦を描くエスピオナージ】舞台は内戦下のシリア。化学兵器を探っていたCIA局員がシリアで拘束され、CIA工作員のサムがシリアに派遣されるが…。著者が中東に滞在した元CIA分析官ということもあり、騙し騙されの諜報戦がリアルに描かれ、骨太なスリラーとして抜群に面白い。ジョン・ル・カレが引き合いにされているようだが、ル・カレほどの重厚さはないかな?あの愛すべきプロクターも登場するモスクワを舞台にした次作が出版されているようなので切に翻訳を願いたい。★★★★☆2023/11/14
しゅー
6
★★アーテミス・アフロディーテ・プロクター!本作は彼女のためにある。何だか主役も頼りないし、妙に恋愛要素絡めてくるし、せっかくシリア内の色んな勢力が出てくるのにストーリーへ活かしきれてない。素材は良いのに調理がいまいちなお店に入ってしまった残念さを感じた。しかしプロクターが登場する場面はイイ。ほかにも反体制派のスナイパーとか女性キャラのほうが魅力的な人物が多かった。2023/09/30
Masayuki Shimura
6
【シリアにはもはや偶然は存在しない】(文中より引用)・・・・・「ここまで書いて良いのか」と話題になっていた作品の翻訳とあって楽しみにしていたのですが、現実とフィクションの境目がもはやわからなくなるような内容にめまいを覚えるほどでした。中東、特にシリア情勢について一定程度の知見を必要とする一冊ではありますが、それにしてもこの重厚さには舌を巻くばかりです。2023/03/27