内容説明
休暇中に山間の別荘を訪れた大学生、ニーナとサイモン。だが帰ってきたのはサイモンだけ。別れ話になり先に帰宅したと言うが、挙動不審なうえ、その後ニーナの姿を見た者はいない。謎が深まるなか、一方の親は記者会見で捜索を訴え、他方は息子を守るべく大金でPR会社を雇って対抗する。サイモンが殺した、自作自演だ、親が怪しい…憶測と誹謗中傷の嵐の先に暴かれたのは、恐るべき真実で―。
著者等紹介
田辺千幸[タナベチユキ]
ロンドン大学社会心理学科卒、英米文学翻訳家
マクティアナン,ダーヴラ[マクティアナン,ダーヴラ] [McTiernan,Dervla]
2022年の“The Murder Rule”に続き、本作でもニューヨーク・タイムズ紙のベスト・スリラーに選出されたベストセラー作家。国際スリラー作家協会賞、ネッド・ケリー賞、ダヴィット賞、2度のバリー賞など受賞多数。また、オーディオ配信の短編小説“The Sisters”は全米で4週連続1位のベストセラーとなった。家族とともにオーストラリア在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
87
いや〜、面白い!この読後は暑さを吹っ飛ばしてくれた。大学生のニーナとサイモンは10月の休みに別荘へ出かけた。帰ってきたのはサイモン1人、ニーナは行方不明。裕福な家庭なサイモン一家は、大金で息子を守ろうとする。一方で、娘が行方不明になったニーナの一家はSNSで叩かれ始める。なんてまぁ理不尽な、でも、これが今の現実かもしれない怖さ。スピード感ある展開とそれぞれの子を思う母親の心情が挟み込まれページをめくる手が止まらない。警察の2人も魅力があり、他の作品に出たら読んでみたい。2025/07/10
yukaring
79
一気読み必至の面白さ。ジェットコースター的展開にすっかり引き込まれる良質なサスペンス。彼氏と休暇中の女性がある日忽然と姿を消す。彼氏であるサイモンは「喧嘩をしたため彼女を1人で残してきた」と証言。そして記者会見で涙ながらに情報を求める両親を肴にSNSは大炎上「彼氏が殺した」「継父が怪しい」「自作自演」疑惑と中傷が人を追い詰めていく恐怖。必死に娘を探すニーナの親と息子を守るべく強硬手段にでるサイモンの親。そして思わぬ方向へ事態は転がり始め…。絶望感や無力感、他人事とは思えないリアルさが心に刺さる物語だった。2025/06/23
stobe1904
37
【アメリカヴァーモント州を舞台にしたクライムサスペンス】著者はオーストラリア人だが舞台はヴァーモント州。ペンションを営むリアンの娘、ニーナが失踪して一緒にいたボーイフレンドのサイモンに疑惑がかかるが…。失踪事件については早い段階で真相が明らかになるが、被害者、加害者家族の苦悩やSNSの誹謗中傷がリアルに迫ってくる。最終盤の起きてしまった事件にどう決着をつけるのかが最大の読みどころ。サスペンスとしてつぼを押さえた作品で映像向きな作品。★★★★☆2025/07/29
タナー
35
Amazonで見かけて気になって手にした作品。原題もそのままなのだが、邦題に"#"がついているところに、翻訳のセンスを感じる。「ゴーン・ガール」をも凌ぐような傑作スリラー。真相は物語の中盤で明らかとなるが、ニーナの両親をはじめ恋人だったサイモンや彼の両親らの視点からストーリーは紡がれていき、最後まで飽きさせない。ドン・ウィンズロウさえもが絶讃しているのも納得だ。2025/09/01
まぶぜたろう
25
失踪した大学生ニーナ、彼女の家族へのサディスティックな描写が嫌になる。これが「イヤミス」って奴か、だとしたらこんなもんはミステリじゃねーよ、と腹が立ちながらも、展開が気になって読んでしまう自分が情けない。しかしほとんど終幕に近づいてからのツイストがあまりに見事で、本書をひねりの効いた上質なサスペンスに押し上げた。ある小道具の使い方に膝を打ち、クリスティのエピグラフが決まりに決まる。前述した通りそれまでが酷いので困るのだが、うむこれは素晴らしく面白い。ちょっとある種の韓国映画みたいな感じな。(◯◯◯●●●)2025/09/09