出版社内容情報
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内容説明
その朝、父は誰かに殺され、母は首を吊っていた。15歳のマーニーは、幼い妹ネリーが殺したに違いないと確信し、人知れず死体を庭に埋める。なぜなら幼児性愛の父親はマーニーだけでなくネリーをも弄んでいたのだから。そんな姉妹の姿を、怪訝な目で見つめる隣人レニーがいた。レニーは少年を買春した咎で苛めにあっている老いた同性愛者だった…愛に飢えた姉妹の危険な遊戯が、いま始まる。
著者等紹介
オドネル,リサ[オドネル,リサ] [O’Donnell,Lisa]
スコットランド出身。2000年、“The Wedding Gift”にて、オレンジ映画脚本家賞を受賞。同年、デニス・ポッター映画脚本家新人賞にノミネートされた。ロサンゼルス在住。現在は作家業に専念している
川野靖子[カワノヤスコ]
熊本大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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茜
129
本作は両親の死めぐる謎解きとサスペンスの物語であると同時に、虐待やネグレクト、貧困にあえぎながらも恋や友情に悩むティーンエイジャーを描いた青春小説ともいえる。最後はハッピーエンドで終わるのが良かった。2019/10/10
ましゃ
44
これは…親に愛されなかった救いのない姉妹の物語。両親が死んでいるのを発見した姉妹は、児童養護施設に送られる事を恐れて両親を庭に埋めようと決意する…。嘘をつけない妹と生まれてからずっと嘘をつき続けてきた姉、お互いを理解しているからこそ反発もし、それでも離れたくないという姉妹をなんとか助けてあげたいという一心で読み続けた。姉妹にも罪はあるのかもしれない…が、過去の咎を償おうとする大人達の都合に今を生きる子達を巻き込まないで欲しい。「人は本来、優しくし合うものだ。だからといって、優しい人をみな愛する必要はない」2018/04/04
あっちゃん
21
ミステリー色弱め!駄目な両親が死んでいて、児童保護局に連れていかれまいと、姉妹で両親を庭に埋める!姉妹と隣のおじいちゃんの三人からの視点で語られていく一年間!哀しいけど、応援したくなる一冊!ただ、視点の変化が頻繁過ぎて落ち着かない(笑)2019/02/13
mokona
19
養護施設に入れられることを恐れた姉妹が、両親の死体を裏庭に埋めることから物語は始まる。親に愛されなかった姉妹と、その姉妹を見守り庇護し続けた心優しきゲイの老人。姉(マーニー)の必死さと比べると妹(ネリー)の身勝手・薄情さが、とても目につき、嫌悪感を覚えるほどだった。そんな姉妹を命尽きる、その瞬間まで愛し守り続けたレニ―の深い愛情に涙がこぼれる。親からは愛されなかったかもしれない。でもレニーから貰った愛は、この姉妹の心に残るだろう。2018/04/20
もなか
4
サスペンスやミステリーというよりは、事実や謎より少女たちの内面の動きに重きを置いたティーンエイジャー向け小説のように感じた。隣人の老人レニーの一人称も入るけれど、姉妹、特に姉のマーニーに感情移入。もっと若い時に読めたら良かった。そうしたら、マーニーの不安定さや自傷的行為(飲酒喫煙や性行為等が、そう感じた)にひりひりする気持ちがもっと切実に感じられただろうと思う。私としては、このラストはハッピーエンド。これでハッピーなところが、マーニーの、そして、この小説の切ないところだと思う。2018/10/20