内容説明
美少年ニール、8歳。男の唇が唇に重ねられたとき確かに愛の至福をみた。しかし、同じ体験がブライアンの弱い心を押しつぶした。カンザスの田舎町で、小児性愛者に性的いたずらをされても、親も気づかない、声も発せない―やがてニールは、男の影を求めて憑かれたように売春を重ね、ブライアンは人を拒み、心を閉ざした。歪な過去の呪縛から逃げられない、ふたりの少年たち…。
著者等紹介
ハイム,スコット[ハイム,スコット] [Heim,Scott]
Village Voice誌やAdvocate誌など、時代を画した雑誌やゲイ雑誌に作品を発表し、執筆活動は、フィクション、ノンフィクション、詩と多岐にわたる。いまはボストンで作家活動を続けている
仔犬養ジン[コイヌカイジン]
北海道生まれ。翻訳家・イラストレーター。Yaoi・BL・LGBT業界において日米の架け橋となっている。米国在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あっちゃん
23
内容はゲイもので、結構キワドイ!ただ、扱い方というか雰囲気が映画ムーンライトのような真面目な哀しみが根底にあるような印象を受けた…映画にもなったらしいけど、レンタルDVDで見つからないなぁ…軽い気持ちで読み始めたので、今はちょっとナーバスな気分に(  ̄▽ ̄)2018/04/14
那義乱丸
20
ペドフィリアの犠牲となった過去が重く影を落とす二人の少年の内面が、並行して描かれていく。記憶を閉じ込め自分のアイデンティティを見失っているブライアンとは対照的に、その過去を愛の思い出として持ち続けているニールだが、自身を男相手の商売道具とすることを止められない彼もまた根深いトラウマを抱えているわけで。そんな彼らがどうやって自身の過去と向き合っていくのか。重く陰鬱で、けして読み心地が良いとはいえないけれど、二人を引き合わせたエリックの――二人のこと、大好きだよ。というセリフが胸に沁みた。2016/06/02
愛希
12
登場人物が何人も出てくるけど、メインはUFOに拉致されたと信じるブライアンとゲイで男相手に売春をするニールの2人の少年。小児性愛やなんだか後味の悪い終わり方にもやもやする部分があるものの、過去の出来事を封印するほどトラウマにしてしまうか良い思い出ととるか対象的な2人が不思議だった。あとがきの双子のような関係というのか腑に落ちた気が。麻生ミツ晃さんのイラストは少ない...。 ★★★☆☆2016/04/25
Satoshi
11
児童性愛の被害にあい、心を閉ざしたブライアンとそれをきっかけに奔放な性愛の道に進んだニールを中心とした物語。2人を中心とした群像劇が繰り広げられるが、登場人物は全て日陰者ばかりで、ブライアンは過去の呪縛から解放されることなく、物語は終わる。2023/08/15
めめめ
10
BL的な萌えはないものの、幼少期にとある「体験」をした少年二人の並ではない心の交感を描いた小説。幼い頃のトラウマが肌の奥底にまで食い入って自分自身でさえも気づかないのに、心のどこかが損なわれていると感じる辛さ。そういうものが、ニールとブライアンを「痛い」衝動に掻き立てるのだろうか。アメリカ地方都市のどうしようもない茫漠さに読み手もイリイリさせられる。麻生ミツ晃先生のイラストは各扉にモノクロのものが収録されてます。どこか繊細で壊れそうな雰囲気の少年二人が良い。2016/04/12
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