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アンナ・ゼーガースの序言
ダッハウ収容所のゲーテ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
21
オランダ生まれでドイツで活躍した文筆家、共産主義者であるニコ・ロストによる、ダッハウ収容所での日々を綴った日記。ロストは反ナチ抵抗運動により逮捕され収監されていた。ロストは強制収容所という極限状態で、仲間と共にゲーテやジャン・パウルなどの西欧の古典文学についての研究や思索、対話を行い続けた。それはインテリの逃避や知的遊戯などとは程遠い、生きるために行われなくてはいけない行為であった。彼はそれを「ヴィタミンL(Literatur)」と呼んだ。それは文学という人間文化によるナチスの野蛮への抵抗である。2021/09/18
ひろ
1
オランダ人のドイツ文学者によるダッハウ収容所での戦争末期の状況が肌身に感じられる。特にゲーテが魂の救いになったようだが、それ以外でも古典文学などありとあらゆる文学について、貴重な紙などに記憶で書き付けていく様が凄い。日常的な虐殺と死の恐怖のなかで、ここまで生きることができるのか、末期のナチ親衛隊の瓦解する様子やアメリカ軍による開放のなまなましさに至るまでまとめられている。ドイツに対する複雑な思い、近隣諸国人に対する心理など、微妙な部分も参考になった。読メさんのリストから知りました。ありがとう。2017/06/04