内容説明
町に再び戦慄を走らせた乱射事件。偶然その場に居合わせたシャーロットは、幼い子供が犠牲になり、銃を手にした十代の少女が逮捕されるところを目撃していた。この町で少女の弁護を引き受けるのは父をおいてほかにいない。またしても町中の怒りを向けられるなか、28年前に止まっていた歯車が動き始め、シャーロットはある決断を下す。父と娘、被害者と加害者、それぞれの悲しい秘密とは―。
著者等紹介
スローター,カリン[スローター,カリン] [Slaughter,Karin]
エドガー賞にノミネートされた『警官の街』や、発売するやいなやニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストにランクインした『プリティ・ガールズ』『グッド・ドーター』『彼女のかけら』をはじめ、“ウィル・トレント”シリーズや“グラント郡”シリーズで知られるベストセラー作家。これまで20作の作品を発表し、120カ国以上で刊行され、累計発行部数は全世界3500万部を超える
田辺千幸[タナベチユキ]
ロンドン大学社会心理学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
93
下巻に入っても、物語はチャーリーとサムの弁護士姉妹の話を軸に展開していく。そして上巻で起きた学校での生徒による銃撃事件に、姉妹が襲われた過去の事件が複雑に絡み、ミステリーだが、家族の絆を描いた人間ドラマ的な部分が大きなウェイトを占めていて、実に読ませる作品になっていた。そして登場人物がみんなそれぞれ苦しんでいて、かなり重いけれど心に訴えるものがあった。作中には様々な死が描かれていて、キリスト教的な考えが根底にあるのを感じた。カリン・スローターは今回も読み手を裏切る事はなかった。2020/11/03
future4227
67
不幸な過去を背負った弁護士姉妹に、容赦なく襲いかかる不幸の連続。ミステリーというより逆境に立ち向かう姉妹とその家族の物語が中心に据えられて、この後に及んで28年前の事件の真相が明らかになる。同時並行で現在の殺人事件の真相をも突き止める弁護士姉妹だが、果たして真実が明らかになったところで、姉妹に心の安らぎは訪れるのであろうか。失われた代償があまりにも大き過ぎる。事実と思われていることが、必ずしも真実ではないということを世に問う作品でもある。2020/10/16
キムチ
65
サスペンスながら現場・法廷の展開は案外少なく、下巻は更なる人間の群像縮図。学校襲撃事件を遡る28年前の事件リンクする真相と絡み合う心情。天才的頭脳の持ち主の亡き母によく似た姉、幸せになって欲しい、なるべきと愛され続けた妹、何れも好きになれぬ心動かされなかった姉妹だが逞しさには敬服。さすが米、タフネスの塊り、困難に挫けるどころか「前進あるのみ」という姿勢は日本モノにはない。「高慢じゃなきゃ偏見だ」と在り様をもじった言葉が面白い。売れっ子、しかもパワフル才能の作家だけあって読み終えての疲労感⤴次作は暫時休憩2021/10/14
ナミのママ
64
色々な出来事、過去と現在、人間関係がカッチリはまった感じの下巻。封印していた姉妹と母を襲った事件。逮捕された少女は本当に犯人?父はどうなるの?読み応えあり。事件は惨虐、登場人物も感情を発散させる激しさ、でも読み終わってみると静かだな…と思ったら解説に“姉妹を中心とした家族小説としても読ませる“とあり。最後が綺麗にまとまってホント良かった。ノンシリーズも面白い、さかのぼってみよう。2020/09/22
yukaring
61
深く鋭く心を抉られる物語。残酷な事件の被害者となった女性たちの悩みや苦しみ、そして乗り越える強さがリアルに描かれるサスペンス。28年前にある弁護士一家を襲った残忍な殺人事件。母親を殺され傷を負いながらも辛くも生き残ったシャーロット。時が過ぎ父と同じ弁護士になった彼女は地元中学校で起こった銃の乱射事件偶然に居合わせる。逮捕されたのは10代の少女。過去と現在が交差し葛藤に苦しむシャーロット。いつも父の"良き娘"であった彼女の封印した秘密とは・・。事件の被害者と加害者、誰もが抱える秘密が辛くそして重い。2023/03/23