内容説明
エドガー・アラン・ポー・ミュージアムの館長が殺された―死体はポーの像に磔にされ、頭部はなく皮膚を剥がされた状態。怪奇小説さながらのその惨劇は“ポー殺人事件”と世間で騒がれることに。捜査に乗りだしたリッチモンド警察署刑事フェリシアは、殺される前に館長が分析に出していた書物が鍵ではないかと目をつける。そんななか時同じくして、遠く離れたノルウェーの図書館でも同じ手口の惨殺死体が発見され…。マウリッツ・ハンセン新人賞受賞。
著者等紹介
ブレッケ,ヨルゲン[ブレッケ,ヨルゲン] [Brekke,Jorgen]
1968年生まれ。ノルウェーのホーテン在住。教師や文芸批評家、ジャーナリストの職についたのち小説家に転身。デビュー作となる『ポー殺人事件』でノルウェー国内の最優秀新人作品に贈られるマウリッツ・ハンセン賞を受賞。ベストセラーリストで第1位を獲得し、世界17カ国で刊行された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のぶ
88
タイトルから受ける印象とは違っていたが、面白い本格ミステリーだった。物語は二つの場所から始まる。一つはヴァージニア州リッチモンドで、ここにあるエドガー・アラン・ポー・ミュージアムで事件が起きる。館長の死体が、ポー像に磔にされた状態で発見される。しかも頭部はなく、皮膚も剥がされているという無惨な姿で。これと並行する類似の事件がノルウェーのトロンハイムで起きる。この辺りから展開は目まぐるしくなっていく。要はこの事件を解決する話だが、行きつくまでは入り組んでいて簡単にはいかない。この複雑さを楽しむのがいい。2021/09/01
yukision
74
アメリカにあるエドガー・アラン・ポー・ミュージアムの館長が殺され,その後間もなく,ノルウェーの図書館内でも同様の手口の猟奇的殺人が起こる。ポー殺人事件といいながらポーはほぼ関係なく,ノルウェーがメインの舞台。ストーリーも面白かったが,ここで触れられる欧米における解剖学の歴史についても興味深く読んだ。2022/05/29
NAO
63
「ポー殺人事件」というからポーと深い繋がりがある話なのかと思ったが、ポー・ミュージアムの館長がポーの作品さながらの怪奇な殺され方をしたという話で、思っていたような話ではなかった。中世期、人の皮膚の下はどうなっているのかという好奇心に憑かれた科学者たち。そのうちの一人がとんでもない少年を弟子に持ってしまったために悲劇は起きた。そして、その悲劇はそのときだけにとどまらず、時代を越えて、新たな殺戮者を生み出してしまう。人の悪意というものは、何度も甦るものなのだろうか2023/10/04
オーウェン
61
アメリカとノルウェーの双方の図書館で似たような惨殺事件が。 そのことが分かると、フェリシア刑事はノルウェーに飛び、オッド刑事と共に捜査に乗り出す。 残虐なシーンがあるが、そこに行きつくため犯人の心情とそれに関わってしまった人間の悲哀。 最後に一気に解決に持っていくやり方だが、ある人物が殺される展開はあまりにも報われなさすぎる。 とはいえ事件自体は最後まで楽しめた。2022/03/01
ハスゴン
41
とても、本がテーマで研究する姿が特にアルコール中毒で亡くなったと思い込んでいましたがそうでもなかったかも知れ無いという意見は斬新でした。次回作も楽しみにしています。2021/10/17