出版社内容情報
日本ではシルクロードの名で知られる中央アジアの歴史について、政治・社会・文化の3つの大きな枠組みにそって概観している。第1部ではアーリア時代からテュルク・イスラーム時代、モンゴル帝国、イスラーム帝国などこの地を舞台に展開した歴史の流れを考察。第2部では遊牧社会、オアシス農耕社会などを、第3部では各時代の文化・文学を扱っている。終章ではいまなお不明な点が多い中央アジア史研究の今後の進むべき方向性を探っている。
1.中央アジアとは?
2.アーリア時代(前イスラーム時代)の中央アジア
3.テュルク・イスラーム時代の中央アジアーテュルク化とイスラーム化
4.中央アジアの隆盛;モンゴル帝国とティムール帝国
5.「近代」への胎動;植民地経験、革命、民族
6.遊牧民族
7.オアシス農耕社会
8.シルクロードと中央アジア
9.テュルク・イスラーム社会の成熟;ワクフ制度、タリーカ
10.現代の中央アジア社会;社会主義時代からグローバル化時代へ
11.アーリア時代の中央アジアの文化ー諸文化の伝播と融合
12.テュルク・イスラーム文化
13.ティムール朝文化
14.中央アジアの文学遺産ー『バーブル・ナーマ』と『テデ・コルクトの書』
15.中央アジア史研究の残された課題
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夜間飛行
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古くはスキタイ・大月氏などイラン系遊牧民が栄えたが、6世紀頃から匈奴・突厥・ウイグルなどアルタイ系が進出し、9世紀には草原を捨てたウイグルが定住してオアシス地帯を〝テュルク(トルコ)化〟した。テュルク人の一部は南下してセルジュク朝を立て、アッバース朝に代わって西アジアを支配した。ただしテュルク化が進んだ後も、パミール以西ではタジキスタンなどイラン系が根強く残った。遊牧民が定住生活に移った理由として、中国との接触やイスラーム化が大きな要因とみられる。特に後者は宗教だけでなく生活全般に大きな変化をもたらした。2023/10/15