内容説明
スコット・ケアリーは、放射能汚染と殺虫剤の相互作用で、一日に7分の1インチずつ身長が縮んでゆく奇病に冒されてしまう。世間からの好奇の目、家庭の不和。昆虫なみの大きさになってなお、孤独と絶望のなか苦難に立ち向かう男に訪れる運命とは?2013年6月に逝去した巨匠マシスンの代表作を、完全新訳で25年ぶりに復刊。巻末には『ランボー』の原作者デイヴィッド・マレルによる詳細なあとがきも収録。
著者等紹介
マシスン,リチャード[マシスン,リチャード] [Matheson,Richard]
1926年、ニュージャージー州生まれ。幼いころから創作をはじめ、50年に作家デビュー。ホラー、SF、ミステリーなど広い分野で活躍。映像化された作品も多く、『激突!』『ヘルハウス』などでは、みずから脚本も執筆。『ミステリーゾーン』をはじめ、TVシリーズにも多くの作品を提供した。2013年、逝去
本間有[ホンマユウ]
英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
47
『アントマン』の元ネタでもあるSF。スコットは身体がどんどん、縮んでいくようになる。知性、感情、性欲などはごく普通の男性なのに身体だけが縮む。大人から子供のような大きさへ、子供のような大きさから昆虫の大きさまで縮んでいく彼の困惑と悲しみを意に介さず人間社会から彼を切り離していく。悪餓鬼から好奇心で暴力を振るわれる場面や孤独な誘拐犯から逃れた場面以上に辛いのが家族と通じ合えなくなる事。家族も辛いよね…。そしてサーカスの小人の女性に慰めを見出す場面でのスコットとその妻の気持ちを思うと遣る瀬無くなる。2017/01/22
**くま**
27
スティーヴン・キングがエッセイで絶賛していたため読みました。有名な作品ですがほんとに超名作でびっくり。キングに大変影響を与えた作家で、実際キングに似ている印象。世に小人話は多くあれど、これはその体のサイズが日毎に小さく変化していく点と、主人公が家庭と仕事を持つ普通の中年男性という点が大きな特色。190cm近い大男だったのが子供サイズになって妻から子供扱いされるようになり、近所の子にいじめられ、変態男に誘拐されかける。人形の家に住み猫にいたぶられ蜘蛛に襲われ・・・文章力と構成力がすごい。最後ちょっと泣けた。2014/09/13
ドン•マルロー
18
男が徐々に縮んでいくという設定は、カフカの変身的構造を現代的にアレンジすること、ないしは換骨奪胎した作品であると言えるだろう。黒後家蜘蛛との対決はヘミングウェイの老人と海をどこか彷彿とさせた。本書は紛れもなく文学の王道的血統を引き継いだ作品であると言えるし、ほのかな希望を抱かせるラストシーンも良い。2019/12/21
しろ
15
☆7 少しずつ、だが確実に身体が綺麗に縮小していく男の話。もうだいぶ小さくなって蜘蛛との死闘を描く章と、段々小さくなっていく彼の苦悩を順に描く章に分かれている。蜘蛛とのバトルはハラハラドキドキのアクションだが、もう一つの章は小さくなる彼とその妻との軋轢や周りの不躾な関心などに胃が痛くなる心理的サスペンス。そして最終的にはミクロの先に在る世界へ行く壮大さもある。色んな魅力があるうえ、「生きるとは何か」などの哲学が寓話的に表されている名作。2013/12/30
ちょろんこ*勉強のため休止中
14
きっちりした緻密な構成と息つく間もないスリリングな展開、本当に映画のようでした。蜘蛛とスコットの戦闘と、彼が縮みゆく過程が交互に描かれてあまりの面白さに一気読み。縮んでゆくにつれて社会からどんどん居場所がなくなるところ、人に理解してもらえない焦りや孤独は胸が痛くなりました。それでも人生を諦めないファイティングスピリットはすごい!個人的に面白かったのは小さいスコットから見た世界の描写、蜘蛛の不気味さです。妻のルイーズの母性、無償といってもいい愛にも感動。意外なラストも良かった(´∀`*)。傑作!!2013/10/26
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