内容説明
ローマへやって来た小説家は、ある料理店にかけあい、店を舞台に新作を書くかわりに、ただで食事をさせてもらう話をつけた。その作品とは、レストラン評論家が殺され、探偵が真相を追うミステリーだ。しかも、小説を書く作家自身の日常も並行して描くという野心作である。ところが、彼が作中で描いた犯罪が、実際に店内で起きてしまった!小説と現実、双方の事件は次第に錯綜し、作家は両面の謎に立ちむかうことになるが…凝りに凝った構成においしい料理を満載した、グラウザー賞受賞の傑作。
著者等紹介
ヤウマン,ベルンハルト[ヤウマン,ベルンハルト][Jaumann,Bernhard]
1957年、ドイツ・アウグスブルク生まれ。ミュンヘン大学で文学・歴史学・社会学を学ぶ。98年に作家デビュー。海外滞在経験をもとに、人間の五感をテーマに、世界の都市を舞台にした連作ミステリーを発表。その最終作に当たる『死を招く料理店(トラットリア)』で、ドイツ推理作家クラブが選ぶグラウザー賞を受賞
小津薫[オズカオル]
同志社女子大学英米文学科卒、ミュンヘン大学美術史学科中退。英米・独文学翻訳家
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感想・レビュー
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けいちゃっぷ
13
あまり外食しないし料理はそこそこ美味しく食べられればいいので、料理名をだされてもピンと来ないんだよね。 小説家がローマのとある料理店を根城にして、フィクションであるミステリと、ノンフィクションである日常を交互に書いてゆくのだが、彼が書いた犯罪が実際にも起きてしまう。 虚構が現実を侵食してゆくのか・・・。 メタミステリっぽい話なのだが、もう少し整理してくれれば読みやすかったかな。 序盤を我慢すれば面白くはなってきたが。 450ページ 2017/06/04
とし
3
煽り文句いわく「凝りに凝った構成」と…確かにそうなのだが、料理と観光名所の説明ばかりが続き、”わたし”と探偵以外の人物描写が疎かになっているような気がする。そのためその他の人たちの思考や感情を理解しづらいし、うっかりすると作中作品と現実の話すら混同してしまいそうになる。 ただ、その「複雑な構成」さえ読み間違えなければ出色の物語が展開される。2019/06/22
hnk
1
いにしえの都ローマを舞台に起こる殺人事件、多彩な料理、作中作と作者である「わたし」の物語とのリンク。ローマの街やレストランの描写は旅心をくすぐられます。ミステリとしては釈然としないような…。2011/11/29
shibatay
1
グルメ系探偵ものかしらと読み始めたら、確かにそうなんだけど、いつのまにやらまるでメタミステリーがごとき渾沌の迷路へ。頭が煮えそうでしたが、ローマ風サルティンボッカのあまりにも美味しそうな描写に完敗。2005/11/25
聖月
0
◎◎作者の名前からわかるように、著者はドイツの出身であり、本書は5作目にして初めて邦訳された素敵な小説なのである。ちょっとした5部作みたいな感じで、1998年には聴覚を題材に舞台はウィーンの作品を、1999年には視覚が題材で舞台はメキシコ、1999年には触覚とシドニー、2001年には臭覚と東京、そして2003年には味覚(料理)を題材としローマを舞台とした本書でグラウザー賞(ドイツ語で書かれた最も優れた推理小説)を受賞したわけである。前4作の邦訳が待ち遠しい。特に東京を舞台にしたこの作家の作品をすこぶる読み2005/04/10