内容説明
これは、父親とその仲間たちと、そして忘れえぬピエロについての、戦争にまつわる辛くて悲しくて美しい物語―。第二次大戦中、親独ヴィシー政権下のフランスの田舎を舞台に、生と死が隣り合わせとなった極限状態での勇気、恐怖に打ち勝つ笑いの力、父と息子の葛藤と和解といった普遍的なテーマをたくみに描ききった。
著者等紹介
カン,ミシェル[カン,ミシェル][Quint,Michel]
1949年フランスのパ=ド=カレ地方生まれ。古典文学と演劇学を学んだのち、戯曲やラジオドラマの脚本を執筆する。小説家としては20作近いミステリを発表し、89年には“Billard `a l’´etage(階上のビリヤード)”でフランス推理小説大賞を受賞する
平岡敦[ヒラオカアツシ]
1955年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、中央大学大学院修了。現在、中央大学講師、フランス語翻訳家
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感想・レビュー
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NAO
46
同じフランス人でありながら、レジスタンスの活動家となるものもいれば、彼らを捕らえてドイツ軍に突き出す対独協力者も出てくるという戦争の悲惨さ。処刑を待つばかりの極限状態にある捕虜たちの恐怖を取り除いた「笑い」の力。戦時中の父を知らない息子の父との葛藤。様々な要素が盛り込まれた、短いけれど、とても深く感動的な話。道化師だったドイツ兵に敬意を示し続けた父の意志をしっかり息子が継いでいるのがうれしい。ピエロの芸を見せたドイツ兵は実在の人物で戦後映画監督になっているが、実話ではないようだ。2016/01/13
♪mi★ki♪
30
観たいのに未だ観ていない映画の原作。小学校教師の父がいつもピエロの格好をして人を笑わせる事に嫌悪感を持っていた「わたし」が、ある日、父が戦時中、親ドイツのヴィシーでレジスタンスだった頃の話を父の従兄弟のガストンから聞かされる。たった30分で読めてしまう本なので、詳しくは書かないけれど、私はこういう本が好き。映画版が是非観たいと思える小説。2017/01/07
スー
11
好きな映画の原作です。映画とかなり内容が違う事に驚きました。しかもちょっと読みずらい。主人公は少年で父親は教師ですがピエロを演じ皆を笑わせる事を喜びとしている。しかし少年はそれが恥ずかしくて嫌だった。ある日、叔父さんから若かった戦争時代の話を教えてくれた。危険な冒険をゲーム感覚で行う青年達を襲った恐怖と後悔とそれを吹き飛ばす笑いの力、それと自己犠牲の感動。素晴らしい話ですが映画の方が好きですね。でもあの人が実在の人物で生きていて映画監督になっていたのが嬉しかったです。2017/05/18
viola
4
原題を直訳すると『恐ろしい庭』。 ブロガーさんに勧められてジャン・ベッケル監督の『ピエロの赤い鼻』を観ました。 原作もあるということで読んでみましたが・・・・30分足らずで読了。映画の写真もちょこっと載っていましたよ。 あの夫妻が新婚1ヶ月という設定だったり、あの動機もやや異なっていました。原作はある映画がキーポイントになっていたんですね。 うーん、でも、映画のほうが好きだなぁ・・・・けっこう変わっていますね。 ベストセラーになったらしいけど、文学的に見てもそんなにいいかな~・・・・という印象です。2011/01/14
舟江
2
ピエロで読み始めた25冊目は、ドイツ占領下のフランス、生と死の間で生きた人の話。独裁者・安倍君に是非読ませたい本の一冊であった。 短編ではあるが、非常に読みずらい訳本であった。2015/05/12