内容説明
十八世紀のイタリア、ヴェネツィア共和国で、少年トニオ・トレスキは、政府高官の一人息子として何不自由のない生活を送っていた。一族の将来を担う者として双肩に重い責務を負う身ながら、天性の美声を持ったトニオは、大聖堂で歌ったり、運河をゴンドラで流す歌い手たちと競演するのが楽しみだった。だが、死んだと聞かされていた兄カルロがイスタンブールで生きていることを知ったときから、トニオの運命は激変した!物語の名手アン・ライスが全霊を傾けて描いた、究極の歴史ロマン。
著者等紹介
ライス,アン[ライス,アン][Rice,Anne]
1941年、ニューオリンズ生まれ。娘の死をきっかけに創作活動を開始した。邦訳に『夜明けのヴァンパイア』(ハヤカワ文庫)に始まる「ヴァンパイア・クロニクルズ」シリーズや、「スリーピング・ビューティ」三部作(以上、扶桑社ミステリー)などがある
柿沼瑛子[カキヌマエイコ]
早稲田大学卒。著書に『耽美小説・ゲイ文学ブックガイド』(共著白夜書房)、『魔性の森』(徳間書店)、訳書にライス『ヴァンパイア・レスタト』(扶桑社ミステリー)、ハイスミス『リプリーをまねた少年』(河出文庫)など
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感想・レビュー
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りさぽん
2
世界史学び直しからカストラートについて知り、それにまつわるお話を読みたいと思ってこの本に辿り着いた。翻訳に違和感を感じてしまうところは多々あったけどストーリーは面白かった。貧困の生まれで、カストラートとして舞台を作ることに生きがいを感じていたグイドと、上位貴族の後継者として育てられたトニオ。生い立ちの違う2人が同じ信念をもち共存に至るまでの葛藤が複雑。パオロ、ロレンツォ、ドメニコの3人の学友がトニオの過去現在未来を際立たせていていると感じたけど、ドメニコはあまりにも可哀想だなと思った。幸あれ…。2025/05/07
サイレン
1
序盤はちょっとかったるいけど、2部からは心地よく読めた。カストラートの事がよくわかって、音楽好きにはお勧め。やる気のない主人公を諭す、音楽院長の長台詞が感動的。 2011/10/31
黎
0
カストラートものにはまってます。情念、憎悪、官能、野心、優しい愛情。でもすべてを超えた人間肯定がある。ドロドロだけど暗くならない。2011/10/23
アキ
0
カストラートやイタリアオペラに興味のある人にはお勧めですが、ゲイものを受け付けない人はちょっと厳しいかも。ハードです。2002/11/14
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