内容説明
故郷カリフォルニアで医学部を挫折したリチャードは東部ヴァーモント州のハンプデン・カレッジに編入学する。古代ギリシア語を学ぼうとジュリアン・モロー教授の門を叩くが、あっけなく断られてしまう。あきらめかけた彼はふとしたきっかけでジュリアンのクラスの学生5人と知り合い、ギリシア語の実力を認められ、やっとジュリアンにも受け入れられる。ところが外部との接触をいっさい断った私塾のようなクラスでの毎日が続くうち、リチャードは古代ギリシアのバッコス祭にまつわるおぞましい事件に遭遇する…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
135
新装や新訳が出るタイミングで旧版を読むことが最近多いが、今回もまただ。読友さんの指摘がなければ知らないままだった。読んだのはほぼ四半世紀前の文庫。ゴールドフィンチでピューリツァー賞を受賞した作者のこれはデビュー作だ。しかし、今のところ受賞作よりこちらの方が面白い。最初に衝撃の出来事があり、それにいたる経緯やその後が示される。何も知らなかった主人公。そして、主要人物の一人になっていく主人公。でも、待って。何かおかしい。みんな本当のことを言っているようで、実は嘘なんじゃないの? 下巻はどうなっていくのか期待大2017/09/14
NAO
64
アメリカ東部の田舎にある小さなカレッジ。その中でも一際閉鎖的なギリシャ語クラス。5人の個性的なクラスのメンバー。どこか怪しげでミステリアスなこの話は、いったいどこに向かっていくのか。2020/09/22
星落秋風五丈原
29
【ガーディアン必読1000冊】冒頭、バニーという彼らの友人が死んだこと、その死には語り手たる主人公も関わっていることが明かされる。現在二十八歳で、ガソリンスタンドを経営する父と専業主婦との間に生まれたリチャードが、バニーたち五人と知り合ったのは、ハンプテン・カレッジの古代ギリシア語を学ぶジュリアン・モロー教授のクラスだった。既に関係が出来上がっている中に、ましてや彼らの中には裕福な育ちの者もいたため、リチャードは臆するが、次第に彼らの仲間として迎え入れられるようになる。2021/06/07
ヘラジカ
29
面白いという言葉だけで表現してそれで良しと出来る作品には中々お目にかかれない。何がどうということもない物語なのに、ここまで夢中になってしまうこの小説こそがまさにそれだろう。全部読み終えたらしっかりした感想が書ければ良いけれど。上巻を読んだ段階で、「これは傑作だ」とそれだけは断言しておこうと思う。2016/06/03
Wisteria
12
面白い!明るくない青春小説。閉鎖された環境の特殊な授業、ジュリアン教授と個性的な5人のクラスメイト、新メンバーとして加入したリチャードの視点からの物語。学生時代の新しい友達を作る難しさと楽しさが甦ってきた。そしてリチャードは何が起きているのかを知らずにいるのに結構重要なポジションにいる。部外者のリチャードが当事者になってしまいそうな所で上巻終わり。2019/05/24