内容説明
どろぼうは、空にはしごをかけ、のぼりはじめました。星にふれることができるまで、どこまでもどこまでも、のぼっていきました。星はあたたかく、ちょっとひっぱると、すぐにとれました。うれしくなったどろぼうは、どんどん星をとっていき、しまいに、空の星をぜんぶ、ちょうだいしてしまいました。星が一つもなくなった夜空には、月がぽつんと光っているだけ…。さて、このどろぼうは、どうやってつかまり、ぬすまれた星は、どのようにして空へもどったのでしょうか。子どもの心に夢をそだてる朗らかなファンタジーです。
著者等紹介
ディノト,アンドレア[ディノト,アンドレア][Dinoto,Andrea]
ニューヨーク市に住む女流作家で、出版社や劇場で働いている
ローベル,アーノルド[ローベル,アーノルド][Lobel,Arnold]
ロスアンゼルスに生まれ、ニューヨーク州シェネクタデイで育った。プラット学院を卒業。ミュスター氏シリーズや「巨人のジョン」「ルシル」など、たくさんの絵本をかいている。1988年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
182
人は手に届きそうな美しさを集めてしまうもの。でもその光はみんなのもの。抱えきれないほどの月と星を独り占めしてしまったら、この世界から消えてしまうのだから。星屑にも限りがある。明日も明後日も、星のない夜を想像してごらん。星どろぼうの部屋がどんなに眩しくても、世界中の奪われた哀しみは止まらない。少しずつ気持ちも冷めていって誰も夜空を見上げなくなる。早く。そうなってしまったら、もう夜は終わりなのだから。早く空へ。星に願いを込めれば、一つひとつの大切な思いが届いて、消えてしまったはずの輝きが戻るかもしれないから。2023/08/12
masa@レビューお休み中
94
タイトルが気になって、しょうがなかったんですね。星どろぼうって何だろうと思っていたら、ほんとうに星を盗んでしまうんですね。山のてっぺんにある村に住んでいる泥棒は、ある日、空にある星を全部自分のものにしたいと思ってしまいます。そして、村の人たちが寝ている間に大きなはしごをたてかけて、ひとつずつ星を取りはずしてしまうのです。空一面にあった星がひとつ残らずなくなったことに気づいた村人たちはびっくり仰天します。そして、村人たちは、星を取り戻すためにある計画をします。はたして、なくなった星は見つかるのでしょうか…。2013/11/03
モリー
73
星の瞬く夜が待ち遠しいです。夜通し降る雨が続き、早朝の朝もやに霞む景色の美しさを知ったばかりですが、澄み渡る夜空一面に輝く星々が早くも恋しくなりました。子供の頃に見上げた星空を思い出します。目にうつる星は今とは比べようもないほど美しく瞬いていました。もし、その中のどれか一つでも手元におけるなら、星どろぼうと同様に私も梯子を登って盗んだに違いありません。星はみんなのもの。だから泥棒は許されません。でも、それは大人の世界のルールです。星は全て夜空に戻されましたが、私の心には美しく優しく瞬く星が一つ残りました。2022/07/18
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
61
タイトルがまずロマンティック。空にある星に触ってみたいな。一つだけ欲しいな。どうせなら全部欲しい! 我慢できなくなってしまって、空にはしごをかけて星を独り占めにしたどろぼうの話。ほのぼのとした雰囲気の穏やかなファンタジーです。絵も味わいがあっていい。日本語に翻訳された初版は1978年5月発行。2014/06/24
seacalf
58
仕事から帰宅したら、見知らぬ絵本がテーブルの上に。何やら自分好みな表紙につられて読む。星を手でつかんで盗むなんて、本当に独創的。大人になると常識にとらわれて、こういう発想は出来なくなる。能天気な星どろぼうの顔に、ほっこり。何よりも、星どろぼうが盗み出した星達の姿の可愛いこと、可愛いこと。あとで妻に絵本の出所を聞いたら、実家の大掃除で処分される前の絵本を、あなたが好きそうだから救出してきたとのこと。感謝。2017/05/01