内容説明
アンジェロじいさんのしごとは、古い教会の壁をぬりかえ、彫刻にあたらしい命をふきこむこと。ある日、仕事中によわったハトを見つけ、しかたなく家につれかえって手当てをした。はじめはぶつぶつ文句をいっていたのに、やがて大の仲良しになって…。別れをつげる最後の瞬間まで相手を思いやる、アンジェロじいさんとハトとの心あたたまる交流。さりげなく、さわやかに死を描いた絵本。
著者等紹介
マコーレイ,デビッド[マコーレイ,デビッド][Macaulay,David]
1946年、イギリス生まれ。11歳のときに、家族とともにアメリカに渡る。1973年に発表した最初の作品『カテドラル』(岩波書店)でコルデコット賞銀賞を受賞。1991年には“Black and White”でコルデコット賞金賞を受賞する
千葉茂樹[チバシゲキ]
1959年、北海道生まれ。国際基督教大学卒業。出版社勤務をへて、現在は北海道当別町で翻訳者として活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
168
古い教会の壁を修復するアンジェロじいさん。彫刻一つひとつに新たな命をふきこむ丁寧な仕事は自信に満ちている。そこで出会った息も絶え絶えの小さな生命。少しずつ元気を取り戻すと、その思いは深愛に変わり、お互いの気持ちが少しずつ温まっていく。疲れた気持ちに寄り添うとき、自然と溢れ出す涙は幸せを運んでくれる。最後の仕事となった教会からは雫の鐘が聴こえてくる。静かな朝を迎えた。あなたは目を閉じた。'Per Sylvia grazie A'…ありがとう。あなたのために。シルビアは天使の巣からずっと遠い空を見つめていた。2023/02/12
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
95
一生を好きな仕事に奉げてきた壁塗り職人のアンジェロは、修復中の教会で瀕死のハトを見つけた。仕事の妨げになる鳥達のことが嫌いだったにも関わらず、家に連れて帰り手当てを施す。傷が癒えアンジェロの元を飛び去った後、ハトは遠くから彼の様子を見ていた。そして彼の異変に気がつく。ハトは彼の前に現れ、町で覚えた芸で彼を励ます……。別れを告げる最後の瞬間まで相手を思いやる心。死を描いているのに描写はさりげなく、爽やかささえ感じる絵本。『カテドラル』など精緻な建築の絵本を出しているマコーレイ氏だけにディテールが美しい。2015/12/23
ゆうゆうpanda
43
教会の壁を修繕する職人アンジェロはある日傷ついた鳩を見つけます。最初は助ける気がなかったのに何となく連れ帰り、そのうち熱心に看病。鳩のベッドにも職人の技が光ります。それだけで仕事熱心な人柄が伺えます。助けられた鳩は一旦彼のもとを去りますが、自分の意志で帰ってきます。素敵な友人として…アンジェロが年をとって思うように体が動かなくなっていく様子がとても丁寧に描かれます。老いと死は誰にも避けられないこと、抗わず自然に受け入れていかなくてはと思わせます。最期に友人の為に最高の仕事を残せた彼は幸せだったと思います。2016/01/09
小夜風
37
【小学校】壁塗り職人のアンジェロと、彼が助けたハトのシルビアとの心暖まる友情のお話。とぼけた絵がクスッと笑えて、だんだん弱っていくアンジェロに寄り添うシルビアの姿にじんわりして、最後のアンジェロからシルビアへの贈り物にウルウルしました。2016/02/22
花林糖
28
(図書館本)壁塗り職人のアンジェロと鳩の友情物語。アンジェロじいさんの鳩のシルビアへの愛情に涙。マコーレイの描く、街並みや修復中の教会の絵が素晴らしい。(購入)2015/12/12