出版社内容情報
混沌のなかで祈り、立ち向かい、打ちひしがれながら野に生きる者たち。本編の登場人物をはじめ、さまざまな人の生き様が光と影をまとい交錯する短編集(第一話「光る虫」/第二話「入らずの庭」/第三話「花狩り人」/第四話「欠ける月」/第五話「ほのほ」/第六話「渦の祭り」 )。最終戦争末期を舞台にした「旧世界」も収録。
内容説明
“空にほろほろと、銀の光が現れだした。地上に生き物の気配はなく、天ばかりが星でにぎわっている。火をともすことなど、もうだれにもできない―”世界は、時とともに移ろい変じ、その上を月が満ちては欠ける。人は過ち、人は願い、人は光をともす。祈り、立ち向かい、打ちひしがれながら野に生きる者たちの日々。六つの短編と、「旧世界」を収録したシリーズ外伝。
著者等紹介
日向理恵子[ヒナタリエコ]
児童文学作家。主な作品に「雨ふる本屋」シリーズなど。日本児童文学者協会会員
山田章博[ヤマダアキヒロ]
漫画家、イラストレーター。京都精華大学マンガ学部客員教授。作品多数。第27回星雲賞(アート部門)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nyah
49
久々の「火狩りの王」‥外伝だけど。村に帰った後の灯子、煌四、火穂、綺羅、くれはの話、明楽と爛(灯子の子)、油百七の少年時代の庭園:首都の木々人、千年彗星になる前の揺るる火などなど。だいぶ忘れてたけど、楽しめました。2022/02/20
kagetrasama-aoi(葵・橘)
43
「火狩りの王」外伝。『花狩り人』で、前日譚が読めてこの世界の成り立ちが漸く理解出来ました。明楽、煌四、灯子、そしてクンのその後もわかってちょっとだけスッキリしました。生きて行く限りはこの世界に無関係な人間はいない、皆それぞれ必死に生きなくてはいけないんだ…とは思いますが。一度核戦争を起こすとこんな世界が待っているんだなぁ…と沁々感じ入りました。そしてどうやら海の中は元の世界を踏襲出来ているような感じですよね。 “いさな” (鯨?)が救いなのかな、と思いました。2023/03/11
鷺@みんさー
39
全体的に消化不良の感あり。【旧世界】含む過去の話から、火狩りの王を生んだ直後と、その数十年先まで、色んな時代の掌編があるのだけども、例えば兄が死んだ後に森に逃げた明楽の話とか、どうやって火狩りになったのかすごい興味あったのに、めっちゃ中途半端な引きで終わり。…んだけども結局、ラストの話を読むためだけに、この外伝は読むべき。さすがに胸が熱くなった。ところで灯子の台詞が、脳内でのんさんの声でしか再生されないのだが。『この世界の片隅に』のあの感じ。ほんま、アニメ化されないかなぁ。2022/11/28
ひめありす@灯れ松明の火
32
泥と水の間からすっくと伸びて咲く炎に似た紅い花。それがぱっと脳裏に閃く。当初思い描いた幸福な終わりよりもずっと汚くて苦しくて。物語が終わってからも泣きながら血と汚泥に塗れながらそれでも狭き門をひとりくぐりつづけるような。何が正しいとか、正しくないとか、間違ってるとか、間違えていない、とか、正誤を求める感情を平伏させる物事。ただ押し上げられた場所で踏ん張って生きていくしかないのだと。2022/05/08
canacona
29
火狩りの王の前日譚とその後の物語がぽつぽつと断片的に語られてる。救いがあるようでないような。揺るる火の誕生、油百七の少年時代。灯子と明楽の晩年の姿を読めたのは良かった。結局灯子は村で変わらず生きて行ってたというのは切ないけど。世界は劇的に変化するわけではなくて、緩やかにしか変わらない。厳しいけど、でも少しずつ変化していくのは救いなのかな。一通り読み終わってから、旧世界の物語を続けて読むと、ここから人類の暗黒の時代が始まるかと思うと絶望しかない😅揺るる火は、なにをみてたのかな。2022/02/21
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