出版社内容情報
ヴァイキングの誓い[新版]
内容説明
孤独な少年ジェスティンの運命をかえた、兄と慕うヴァイキング、トーモッドとの出会い。ヴァイキング同士の復讐の戦いに巻きこまれ、旅にでたジェスティンが、最後にたどりついた場所とは。葛藤を抱えながらひたむきに生きる少年を、イギリス児童文学の異才サトクリフが描く。
著者等紹介
サトクリフ,ローズマリー[サトクリフ,ローズマリー] [Sutcliff,Rosemary]
1920‐92。イギリスの児童文学者、小説家。幼いときの病がもとで歩行が不自由になる。自らの運命と向きあいながら、数多くの作品を書いた。『第九軍団のワシ』『銀の枝』『ともしびをかかげて』(59年カーネギー賞受賞)(以上、岩波書店)のローマン・ブリテン三部作で、歴史小説家としての地位を確立。数多くの長編、ラジオの脚本、イギリスの伝説の再話、自伝などがある
金原瑞人[カネハラミズヒト]
法政大学教授、翻訳家。訳書は児童書、ヤングアダルト小説、一般書、ノンフィクションなど、550点以上
久慈美貴[クジミキ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mahiro
16
新年まとめ買いしたサトクリフ本の最後の1冊、ヴァイキングに連れ去られたイギリスの少年ジェスティンがヴァイキングの男トーモッドと義兄弟になり、彼の復讐の旅に同行してキエフからコンスタンティノープルまで行く。血族の名誉の為かつての友でも当然のように命を賭けて殺し合うヴァイキングの掟に馴染めなくてもトーモッドへの信愛の為共に戰うジェスティン。ビザンツ帝国にヴァイキングの傭兵部隊まであったのか…ヴァイキングとキリスト教と2つの世界の間で揺れるジェスティンが選んだのは…遠い道の果てに彼が平安を得たのは良かった2021/01/16
風地
11
サトクリフは、失ったものと、折り合いをつけながら(決して忘れるのではない)いずれ静かな境地に辿り着く物語が多い。ジェスティンはヴァイキングのトーモッドを義兄弟として慕うのだけれど、トーモッドだけが世界とジェスティンをつなぐ命綱の様で、友情以上の重みを感じた。紀元980年ごろのブリテンからコンスタンティノープルまでの旅路が、実際に見たかのように表現されていて驚く。歴史上の人物や出来事をベースにしながら、皇帝などの視点ではなく、市井の少年を主人公にし、読む人にその時代をリアルに体感させる素晴らしい文章だった。2022/03/01
サラサラココ
6
子どもと。ヴァイキングの義兄弟と誓った誓いはどうなるのか。読み応え重量級。読み返したい。2023/11/09
本とフルート
0
最後のジェスティンの決断が、清々しく潔く、読んだあとに心の中がすっきりした。サトクリフは今までサクソン人などの侵攻を防ごうとするローマ人の視点からの作品を多く読んできたので、ヴァイキングが主人公なのが新鮮に感じられる。2020/05/29