感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa@レビューお休み中
89
これは何なんだろう。人間のお話なのか、猫のお話なのか、おとぎ話なのか…。読んでいると皆目検討がつかなくなる。猫のチビの冒険譚とも言えなくないが、旅をし続ける訳でもない。一つ所に留まる訳でもない。結果があるとか、目的があるとか、そういうのでもないようなのだ。だから混乱するように読んでいる内に境目がなくなる。それが嫌な感じではなくて、心地よいのだ。心地よくて、ここに行くことはできないのかとすら思ってしまう。チビ猫は、綿の国星を探しているけれど…。本当はここがその地ではないのだろうか。2017/01/04
ばう
65
前に録画していたBSの岩合さんの番組を見ていたら急に読みたくなって。今回登場するのは流れ者のドロボウ猫、血統書付きのマンション猫キャラウェイ、化け猫のタマヤ。どの猫にも哀愁が漂っています。本を閉じた後、しばらく彼らの生き方を色々と考えてしまう、そんな余韻の残る読書時間が持てました。大島弓子さんの世界に自分も入ってしまったような感覚。読み終わってひっつめ三つ編みがこの巻には登場していない事に気付きました。もう出てこないのかしら?トキオとは進展無し?だとしたら少し寂しいなぁ。
ゆか
26
「猫本を読もうイベント」18冊目。再読。赤木かん子さんの解説を読み、大島弓子さんのデビューが1968年であることを知りました。お母さんが執筆を始めたお父さんを見て「誰かの夢と同じ夢をいっしょに見ることはできないでしょ わたしも同時に お父さんの世界を見てみたいけど こればかりはむりね」というところわかります。その後の夢の女学生のお母さんと、ちびねこちゃんのなんと可愛いこと♡日がくれる時「わたし この時間すき まちが夜のはじまりと昼のおわかれのパーティみたいだから」というちびねこ。私もそう思います。2019/02/26
きつねこ
24
ちび猫の可愛らしさ、一生懸命さを見ていたら、人間が哀しく見えてきました。お父さん、お母さんの安定ぶりは安心して読めます。意外とお父さんがこずるいとこなんて人間ぽくっていいな。実家に春に産まれたちび猫がいるのですが、いつも跳び走り回っていてむちゃくちゃ落ち着かない~!先にいるデカネコはおっとりしてるのにね。顔立ち、雰囲気は違うんだけど、綿の国星のちび猫を思えば納得!2014/09/14
金平糖
17
チビを餌に魚を命がけで狙うノラ。愛猫は保護した日から外に出したことがない。窓から外を眺め、網戸から外の匂いを嗅いでいる姿を見ると、彼女の本当の幸せは何かと考える事暫し。外に出したら「八十八夜」のキャラウェイのようにあちらこちらをなでなでするのかも。一方、チビ猫はチビなのに自由。電車にまで乗ってしまう。飼主に先立たれたタマヤは化け猫扱いされて切ない。ペットって飼主に似るのかも?老婆の死から解放され本来の自分を取り戻してほしい。何度目かの再読で綿の国星は猫の天国なのだろう。だから切ない物語なのだと改めて思う。2018/08/11