内容説明
幻の単行本未収録作含む皆川ミステリーの神髄を厳選。
著者等紹介
皆川博子[ミナガワヒロコ]
1929年、京城生まれ。東京女子大学外国語科中退。児童小説でデビューし、79年「アルカディアの夏」で第20回小説現代新人賞を受賞後は、ミステリー、幻想小説、時代小説など幅広いジャンルに渡り活躍中。その幻想性・耽美性を内包する独自の作品世界に魅了された熱烈なファンは数多い。「壁―旅芝居殺人事件」で第38回日本推理作家協会賞(85年)、「恋紅」で第95回直木賞(86年)、「薔薇忌」で第3回柴田錬三郎賞(90年)、「死の泉」で第32回吉川英治文学賞(98年)を受賞
千街晶之[センガイアキユキ]
1970年、北海道生まれ。立教大学文学部卒。95年、「終わらない伝言ゲーム―ゴシック・ミステリの系譜」で第2回創元推理評論賞を受賞。探偵小説研究会会員。「週刊朝日」「週刊文春」などにミステリ書評を連載中
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感想・レビュー
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優希
63
ミステリーというより耽美小説という感じでした。美しい世界に惹き込まれます。愛憎や狂気のイメージが漂い、幻想小説と言ってもいいかもしれません。重みがあり、沼の底に引きずり込まれそうですがそれがまた魅力ですね。禁忌を破る愛、異形への愛が美しいです。まさに芸術です。2015/01/21
雪紫
53
書き下ろし1篇を加えた皆川さんのミステリ短編18。見覚えのある作品も結構あります。狂気と時代が産む闇を見事な文章で短編に落とし込む手際にくらくら。注。皆川さんの短編摂取は小刻みに容量を守るように。オーバードーズは禁物です。くらくらするだけじゃ、すみません。2021/11/04
藤月はな(灯れ松明の火)
16
嫉妬に打算、あるいは説明もつかないふとした瞬間に現れる感情が引き起こす事件を背徳的かつ耽美に描いた今まで出会ったことのない作風に瞑目しました。「虚無への供物」のように関係者でない部外者が勝手に事件や関係性を勝手に解釈したり、介入する不愉快さも見事に描写されていて舌を巻いていしまいました。個人的なお気に入りは「漕げよ、マイケル」、「紅い弔旗」、「水底の祭り」、「火焔樹の下で」、「私のいとしい鷹」、「孤独より生まれ」、「黒塚」、そして後の「薔薇密室」を彷彿させる特別書下ろしの「廃兵院の青い薔薇」でした。2011/05/31
芍薬
15
探偵?トリック?そんなもの必要としていません。ミステリーというよりも芸術作品のようでした。「黒塚」「水の館」が絶品です。2013/01/03
ようすけたろう
7
図・「『凡庸な者に読ませてなるものか、これについてはベストセラーなどになってはならない。理解できるのは我々だけでいい』という、極め手前勝手なファン心理をかき立てる一連の作品」篠田節子の解説。あとがきより。2010/11/05
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