出版社内容情報
難病のため小児病棟に入院している透。夢と現実の間で揺れる名門進学校に通う晴紀。母親と折り合いの悪い全盲の少女・冴理。少年院を出たのち、アメリカにわたった天涯孤独な青年・釣崎。世界有数の頭脳スポーツ・チェスと出会い、その面白さに魅入られた4人の若者たちの人生が、64マスの盤上で、ドラマティックに交錯する――。全選考委員の絶賛を集めた、第12回ポプラ社小説新人賞受賞作!
【目次】
内容説明
世界有数の頭脳スポーツ・チェスと出会い、その面白さに魅入られた4人の若者―難病のため小児病棟に入院している透。名門進学校に通いながらも夢と現実の間で揺れる晴紀。母親と折り合いの悪い全盲の少女・冴理。少年院を出たのち、アメリカに渡った天涯孤独な青年・釣崎。己のすべてをかけてチェスプレイヤー日本一を決める大会に挑む彼らの勝負の行方は?全選考委員が絶賛した第12回ポプラ社小説新人賞受賞作!
著者等紹介
石井仁蔵[イシイジンゾウ]
1984年、新潟県生まれ。東京大学文学部卒業。2022年、本作にて第12回ポプラ社小説新人賞を、選考委員の満場一致で受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オセロ
39
これは良かったですね! チェスに魅せられた四人のヒューマンドラマで、それぞれ背負う物があるから強くなれる。その姿には心打たれる。ストーリー的にはやや強引なところはありましたが、それを差し引いても良かった。チェスについて詳しければもっと楽しめたのかもしれないと思うと、惜しいことをしたな…2025/07/19
PEN-F
34
ポプラ社小説新人賞ということで手に取ってみたが、面白かったです。序盤はヒール役に徹していた釣崎が最後においしいとこを掻っ攫っていったので、4〜5人いた主要キャラが皆主役級の働きをしていて良かった。この賞は小川糸さん、伊吹有喜さん、寺地はるなさんなど、この賞をきっかけに人気作家に登り詰めた人も多々いるので今作の著者である石井仁蔵さんも今後が楽しみです。2025/07/23
よっち
27
世界有数の頭脳スポーツであるチェスと出会い、その面白さに魅入られた4人の若者たちが、己の全てを賭けてチェスプレイヤー日本一を決めるチェスワングランプリに挑む青春小説。難病で入院生活を送る小学生の透。実力者でもマイナー競技ゆえに、プロを目指すかどうか悩む高校生の晴紀。強要されていたピアノを辞めて盲学校の保健室の先生に偶然勧められたチェスにハマってしまう全盲の少女・冴理。そして少年院を出て単身アメリカへ渡る天涯孤独の釣崎。生まれも育ちも異なる彼らが、チェスに魅入られて繰り広げる熱い戦いがなかなか良かったです。2025/07/03
緋莢
8
「エヴァ―グリーンって、ずっと色あせないって意味なんだ。グランドマスターも夢だけど、こんなメイトをつくるのも夢だよ。これが指せたら、もういいやってくらいの」難病による入院で楽しみだった遠足に行けず、不貞腐れる 小学生の透は、同室の輝がやっていたチェスに惹かれる。チェスを覚え、輝と対局を重ねて…チェスを題材にした 連作短編集。図書館で借りた単行本がとても良かったので、文庫化を機に購入、再読しました(続く 2025/08/08
ゆう
5
チェスの勝負の面白さもだけど、それぞれの人生とその繋がりが物語に深みをもたせていた。 悪役の様に見せかけて、結局良い奴だったり、表面上だけの優しさじゃない、心からの励ましの言葉には感動させられた。2025/08/03