出版社内容情報
マッチングアプリで知り合った二人目と別れたばかりの佐野朋香。妻とも娘ともうまくいかず、仕事も行き詰まる片山達児。むかしの仲間を若くして喪った青井千草。後輩の陰口にショックを受けて会社を辞め、半年が過ぎた新川剣矢――。平凡な暮らしが揺れ始め、岐路に立つ四人。小さなアパートの住人たちが紡ぐ愛しい日々の物語。
目次
妙見島 ベルジュ江戸川二〇一号室 佐野朋香
JR四ツ谷駅 ベルジュ江戸川一〇二号室 片山達児
東京高速道路 ベルジュ江戸川二〇二号室 青井千草
河原番外地 ベルジュ江戸川一〇一号室 新川剣矢
内容説明
マッチングアプリで知り合った二人目と別れたばかりの佐野朋香。妻とも娘ともうまくいかず、仕事も行き詰まる片山達児。むかしの大切な仲間を若くして喪った青井千草。後輩の陰口にショックを受けて会社を辞め、半年が過ぎた新川剣矢―。平凡な暮らしが揺れ始め、岐路に立つ四人。行き違い重なりあう日々が新しく輝き出す物語。
著者等紹介
小野寺史宜[オノデラフミノリ]
千葉県生まれ。2006年『裏へ走り蹴り込め』でオール讀物新人賞を受賞。2008年、『ROCKER』でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。著書に『ひと』(2019年本屋大賞2位)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
282
小野寺 史宜は、新作中心に読んでいる作家です。本書は「ベルジュ江戸川」連作短編集、市井の人々は、悩みながら頑張って生きています。確かに新潟市は、あまり雪が降りません⛇⛇⛇ https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008459.html2024/07/21
いつでも母さん
179
江戸川区、江戸川沿いにある【ベルジュ江戸川】二階建て全4戸に暮らす4人(内1軒は3人家族)の話。『それぞれの行き違い重なりあう日々』を小野寺さんの真骨頂ここにあり!って感じだった。相手の裏の裏を思っての言葉とか、もしかしたらそうじゃないかもっての行動とか・・誰でも一度は経験したことがあるような感情を淡々と紡ぐのが本当に巧い。自然にというか皮膚感覚で共感出来るから参っちゃう。4話ともいや、4人ともほのかな希望が見えるのが良い。なんか好い。2024/06/19
ひさか
145
2024年5月ポプラ社刊。書き下ろし。網走番外地をイメージしてしまいましたが、全く違って番地がないところはそう呼ばれるという地域のことで、小野寺さんワールドなお話。。4つの部屋があるベルジェ江戸川の住人たちの4つの連作短編。理不尽な思いや困難や問題を越えていく話がサラリと語られるのが心地よく、楽しくなる。2024/07/31
のぶ
141
小野寺さんの世界を堪能させてもらった。舞台は旧江戸川沿いに建つ小さなアパート<ベルジュ江戸川>で、1DKと2LDKの僅か4部屋のみ。そこに住む家族や個人を描いた連作集。心が暖かくなり、様々な愛を感じることのできる話だった。人はそれぞれ抱えているものがあり、住民の各視点や人生観を楽しむことができた。アパートでの人との繋がりをいい意味で感じることができると幸せだなと思います。人として当たり前ですが、挨拶をすると後々の効果を得られると強いですね。名もなき人たちが、何気なく生活している感じが良かった。2024/07/27
hirokun
139
★3 アパートの住人4家族を主人公にした連作短編集。如何にも小野寺さんらしい作品で、ごく普通にある日常生活を題材に物語を展開しているのだが、読んだ後には何かしらホッとした気分にさせてくれる。日常をへたに誇張することなく、しかし、丁寧に見つめ表現していく中に、本当の我々の生活が浮かび上がってくるような気がする。このような作品は、派手さこそないものの落ち着いて読書に浸っていられる心地よさがある。小野寺さんの持ち味を遺憾なく発揮した作品。2024/06/30