出版社内容情報
人生の最後に食べたいおやつは何ですか――
若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。
ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。
――食べて、生きて、この世から旅立つ。
すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。
2020年本屋大賞第2位。
内容説明
人生の最後に食べたいおやつは何ですか―若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。食べて、生きて、この世から旅立つ。すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。2020年本屋大賞第2位。
著者等紹介
小川糸[オガワイト]
1973年生まれ。『食堂かたつむり』でデビュー。以降数多くの作品が様々な国で出版されている。『食堂かたつむり』は、イタリアのバンカレッラ賞、フランスのウジェニー・ブラジエ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
五右衛門
194
読了。この作家さんらしいですね。いつもほんわか雰囲気ながら引き込まれてしまいました。物語の傍にはいつもおいしそうなおやつなどがあります。どれも一度は食べてみたいです。主人公が終の棲家でのスタート。終盤はもう逢わないと決めていた父親との再会。更に妹との出会い。こんな風に最愛の人たちに見守られながら逝きたいです。三日目約束も守られたみたいで良かった。レモン島のワイン飲んでみたい。2022/12/27
鍵ちゃん
191
人生の最後の食べたいおやつは何ですか。若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間亅があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。食べて、生きて、この世から旅立つ。すべての人にいつか訪れることを暖かく描き出す。予想道理の展開だが、作家さん特有の人の暖かさが加わり涙ちょうだい物でした。いつもながらも心が洗われた気がします。2023/07/22
Nobu A
163
小川糸著書4冊目。読書会課題本。代表作3冊も既読。全てに言えるのはタイトルが粋で料理やお菓子を巧みに描写するのが得意分野。他方、掴み所がない措辞は物語展開よりも延々と続く心理描写にある。余命を告げられた主人公、海野雫が療養施設で過ごす日々。「カヌレの思い出」や「バナナの命」等、あまり具体性のないものをあれこれ。夢の中で早世した母や六花の元飼い主が出てきたりと現実と幻想の境界線も曖昧。研究の賜物や物語構成と展開を練りに練ったと言う痕跡なし。読了後残ったのはフワフワした小川ワールド感のみ。正直好みじゃない。2024/07/13
みこ
140
癌により若くして余命宣告された雫が自分の最後の場所に瀬戸内海のホスピスを選び、そこで様々な人と最後の交流を交わす。新たな出会いがあったり、先住者が次々と亡くなったりと多くの出来事があったが、実は雫が入居してからの時間がわずかしか経過していなかったことがラスト近くでさらりと記される。人生の最後にあまりに濃密な時間を過ごしたと感じた。それにしてもっ現実と幻覚が錯綜する様子や自らの死を受け入れる心境など、小川糸氏は一度死んだことがあるのではないかとあり得ないことを考えてしまうほど真に迫った描写であった。2022/11/08
となりのトウシロウ
134
まだ33歳の海野雫は、癌のため余命宣告を受ける。残り少ない人生を暖かく海の見える場所で過ごすため、瀬戸内レモン島のホスピス・ライオンの館にやってくる。自分が歩んできた人生を見つめ直し、残された時間と向き合い、自分の気持ちに素直になって、最後まで精一杯生きる様が描かれている。日々の何気ない暮らしがかけがえのない健やかな時間の積み重ねであり、無理をせず自分に正直に、笑顔で前を向いて、毎日を精一杯生きる事が幸せなのだと強く感じる。決して人は一人ではなく、他の人と関わりながら生きている事の素晴らしさを感じた。2024/07/21