出版社内容情報
前川 ほまれ[マエカワホマレ]
著・文・その他
内容説明
はからずも医療刑務所へ期間限定の配属となった精神科医の工藤。矯正医官となった彼が見たのは、罪を犯しながらも民間と同等の医療行為を受けている受刑者たちの姿だった。自身の過去から受刑者に複雑な感情を抱く工藤。さらに彼の気持ちをかき乱したのは、医師を志望するきっかけを作った男との鉄格子越しの邂逅だった…。いま最注目の新鋭が放つ、心揺さぶる傑作社会派エンターテインメント!
著者等紹介
前川ほまれ[マエカワホマレ]
1986年、宮城県出身。看護師として働くかたわら、小説を書き始める。2017年、「跡を消す」で、第7回ポプラ社小説新人賞を受賞し、翌年デビュー。『シークレット・ペイン―夜去医療刑務所・南病舎』は第22回大藪春彦賞の候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はつばあば
52
哀しいかなこの読後感を文章で表せるほど若くない、語彙が霞んで。同じ町内に刑務所があります。若かった時には囚人の人たちの掛け声や運動会の時の歓声も段々聞かれなくなったのは私の耳が遠くなっただけでなく高齢者が増えたりしているからでしょうね。精神科医の守が職場で出会ったのは幼い頃の友達真。贖罪って人それぞれの気持ちでしか表せないと思う。ましてや心に十字架を背負った守には許し難い気持ちが受刑者に対してあるのだろう。そんな守と真は矯正医官と受刑者としての立場から昔のような幼友達のように・・。涙もろくて困った婆です2022/09/23
coco夏ko10角
20
医療刑務所へ週二で登庁するこになった精神科医の工藤、医療行為を受けている受刑者たちの中に子供の頃の友人がいて…。少しずつ変化していく工藤の心情。それぞれの立場・事情…。読んでて色々と考えてしまう。参考文献の数がすごい。『跡を消す』も良かったし、作品チェックしたい作家さんの一人。『セゾン・サンカンシオン』も文庫になったら。2022/08/29
こばゆみ
8
タイトル通り、夜去(よさり)医療刑務所を舞台にしたお話。服役中の囚人を税金で治療する、という倫理的観点上難しいテーマを、読みやすく、でも重々しく描いていて、興味深く読んだ。チャラ男に思えて実は凄腕の神崎先生が、個人的に一番印象に残った。2021/11/12
ふーこ
7
主人公の心の葛藤がとても伝わってきました。 医療小説は数多く読みましたが、この本を読んで新たに医療刑務所というものを知ることができてよかったです。 大きな出来事が起こったり、大どんでん返しという展開はありませんが、文章の癖もなく、とても読みやすかったです。 参考文献一覧を見て、著者は中途半端ではなくきちんと理解された上でこの本を執筆されたということが伝わってきました。2021/10/10
りょう
5
犯罪者に対して税金で、どこまで充分な医療を提供する必要があるのか。という命題に悩む新任の医療刑務所の医師が主人公。結局、いろんな例が出てくるけど、本音のところでのその回答は明らかにならず、友人やら、末期癌やらの状況に紛れてしまった結末だった。わからない。2021/11/13