出版社内容情報
ぼくの仕事は野生の生き物たちを写真におさめることだ。毎年のように、南のあたたかな海ぞいにある、たくさんの生き物たちにであえる森をおとずれている……
そして、夜。「ここはオレたちの森だ」と、ぼくの目の前にあらわれたのは、真っ赤な顔をしたギョロ目のおばけ? 魔物? 妖怪? 怪物? 「これからおまえに森を案内しよう」という声に、ぼくはおびえながらも、いっしょに森に入っていった。
そこでぼくがであったのは、みずからを「もののけ」となのる、さまざまな生き物たち。怪しい声で叫ぶもののけたちの話を聞いていると、みな、人間のことをきらっているよう。
そして、ぼくは、ひとはこれまで自然のありさまにおそれと感謝の念を抱き、いのりをささげ、ともに生きてきたことを思い出す。しかし、いまひとはおそれを忘れ、とりかえしのつかない破壊をくりかえしている……。
世界中の森で生き物たちに出会い、森林破壊のようすに心をいためてきた環境ジャーナリストの藤原幸一が、インパクトある写真と構成で、森とひとがともにくらすための心のありようをわかりやすく語る、新しい切り口の写真絵本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒラP@ehon.gohon
26
何とも迫力満点の写真絵本です。 自然の中にいる生き物、植物、あるいは人の作った物も、見方、切り取りかたによって、これほどにも神秘的なもののけたちに変身するのですね。 文章の効果も絶大です。 トーテムポールでしょうか、ギョロ目の存在が決定的です。 何事もない風景から神秘的な世界を作り出した藤原幸一さんに、ただただ脱帽です。2020/09/04
遠い日
9
命蠢く夜の森。闇は濃く、空気まで質量を持つ。踏み込む人間を試すかのような、森の「もののけ」たち。見にいくんじゃない、見せてもらうのだという謙虚な敬いの心を持たなければ、いつまでも人間は愚かな行為を繰り返すだろう。2020/11/20
けいねこ
5
おそらく南の地の森の夜。様々な命がうごめいている。古くから森に棲まう者たちが、侵入者を警戒している。森の暗さと湿度を感じるような写真の数々。日本の森版も見たいと思う。2020/09/22
たくさん
2
写真が望遠というか被写界深度が深い写真で背景の光の色もそれぞれ違うので話のつながりがいまいち想像を膨らませることができにくかったのと、擬音が意味不明というか音が脳内にならないし訳が分からなかったです。一枚一枚の写真はインパクトあるけど一つにつながった作品というのは私はあんまり感心しませんでした。 2020/09/12
kokotwin
2
うったえ続ける感じが最初から最後まで。確かにどの写真ももののけのように見えてくる。ほんとうはかわいかったり、きれいだったりする生き物たちなのに。森を壊しちゃいけない。人間の持ち物じゃないんだよなぁと考えさせられる本だった。2020/09/02