出版社内容情報
2014年、埼玉県川口市で当時17歳の少年が祖父母を殺害し金品を奪った凄惨な事件。少年はなぜ犯行に及んだのか? 誰にも止めることはできなかったのか? 事件を丹念に取材した記者がたどり着いた“真実”。少年犯罪の本質に深く切り込んだ渾身のノンフィクション。2020年夏公開予定の映画『MOTHER』(主演:長澤まさみ)原案。
内容説明
2014年、埼玉県川口市で当時17歳の少年が祖父母を殺害し、金品を奪った凄惨な事件。少年はなぜ犯行に及んだのか?誰にも止めることはできなかったのか?事件を丹念に取材した記者がたどり着いた“真実”。少年犯罪の本質に深く切り込んだ渾身のノンフィクション。
目次
第1章 幼少期
第2章 祖父母殺害まで
第3章 祖父母殺害から逮捕まで
第4章 裁判
第5章 少年の手記
第6章 裁判後
第7章 事件が映し出したもの
第8章 貧困・虐待と少年犯罪
著者等紹介
山寺香[ヤマデラカオル]
1978年、山梨県生まれ。2003年、毎日新聞社入社。仙台支局、東京本社夕刊編集部、同生活報道部を経て、2014年4月からさいたま支局。事件・裁判担当だった同年12月に本事件の裁判員裁判を傍聴し、取材を始める。これまでに犯罪被害者支援や自殺対策、貧困問題などに関心があり、取材してきた。2019年5月から東京本社くらし医療部(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
135
17歳の少年が祖父母を殺害し金品を奪った事件。その背景を描いたルポ。本作で居所不明児童について初めて知る。親が転居しても住民票を動かさず、居所不明になる児童。この事件では母親が親としての役割を果たせなかった。働かず遊興費に金銭を浪費。離婚し再婚するが、一貫して姿勢は変わらず。義父とモーテルに暮らし、遂にはホームレスへ。少年は学校にも行けず虐待を受ける。勿論、殺人は許されず償いが必要である。だが、この少年のようなケースを無くす社会の取組みが必要なのだ。母親もメンタル不調があったのだろう。考えさせられる作品。2020/06/29
H!deking
101
映画motherの原案。映画は観たので、登場人物は映画のキャストで脳内再生。うーん。辛い。川口で起きた少年による祖父母殺害事件の背景的なお話ですね。きっちり取材されています。映画では描かれていなかったけど、トランスジェンダーもあったのね。それを考えると辛さが増します。8章はちょっと蛇足感あるけど、色々考えさせられるお話でした。二時間くらいで読めるので機会がありましたらぜひ。2020/08/26
まさきち
73
母親が鬼畜過ぎて胸くそ悪くなった。それでも最後まで読み続けられたのは、自身が過酷極まりない状況におかれながらも妹を思いやり、世話をし続けた少年の優しさのお蔭かもしれない。2020/06/08
雪月花
51
こんなにも読み進めるのが辛い本はなかった。2014年3月に祖父母を殺害した少年の生い立ち、事件を起こすまでの毒親からの虐待、乳児の妹を連れての野宿生活、事件後の裁判や少年の手記などが取材を元に詳しく書かれているが、あまりにも過酷で常軌を逸した生活環境の中、善悪の判断がつかなくなった少年を責めることはできない。何度か区や児童相談所が面談もしたらしいが、どうして少年を毒親から救えなかったのか悔やまれる。こんな事件、二度とあってはならない。児童虐待や居所不明児童が減りますように、と願って止まない。2021/06/01
bibi
51
2014年埼玉県川口市で起きた老夫婦殺人事件。犯人は孫であった。なぜこの事件は起きたのか?その背景は気になるが、毎日新しいニュースの中に紛れ込んでしまう現実。新聞記者である筆者が丁寧に取材している。近年の少年犯罪は「貧困や虐待が背景にあり、社会的に孤立した少年たちのコミュニティで起きているケースが目立つ」あと一歩の想像力が、あと一歩の行動力が大切。2020/10/25