出版社内容情報
大切な探しものがある人だけがたどり着けるコンビニたそがれ堂。第9弾は優しい幽霊の物語『柳の下で逢いましょう』ほか全3篇。
内容説明
地味で目立たぬ若者が、若くして世を去り幽霊に。影の薄さに磨きをかけて暢気に暮らしていたが、街で見かけた善意の学生をその死の運命から救おうと思い立ち…。優しい幽霊の物語、『柳の下で逢いましょう』。遠い昔に別れた人との不思議な時間を描いた『約束の夏』、すれ違う少女たちの願いが切ない『踏切にて』の三本。大切な探しものがある人だけがたどり着ける不思議なコンビニたそがれ堂、シリーズ第9弾!
著者等紹介
村山早紀[ムラヤマサキ]
1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。『桜風堂ものがたり』(2017年本屋大賞ノミネート)、『百貨の魔法』(2018年本屋大賞ノミネート)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
204
楽しみなシリーズ第9作。『柳の下で逢いましょう』…好青年の危機を救おうとする影の薄い幽霊くん『約束の夏』…若い頃に亡くなった女性を忘れられない初老の男『踏切にて』…お互いに思いやる親友同士の女子中学生。どの主人公も「もしもあのとき、違う道を選んでいたら...」と悔恨を抱えているが「たそがれ堂」の力を借りて過去をやり直そうとする。その切なくも優しさに満ちた姿に心が洗われるようで、今回も気持ちよく癒された。ねここが自身の過去を暗示する台詞を言い、『桜風堂ものがたり』の渚沙が登場するファンサービスも嬉しかった。2020/05/19
SJW
115
シリーズ第9弾の大人の童話。今回は3つの短編からなり、テーマは時と人と植物で、過去の不幸や過ちを嘆く登場人物がコンビニたそがれ堂にたどり着き、苦しみや後悔を和らげてもらえるストーリー。また花咲家の人々の親戚のような人も登場するコラボ作品。それぞれの話で和ませてくれるこのシリーズ、次の作品が出るのか気になってしまう。2021/02/19
美登利
92
風早の街、幻のコンビニ。シリーズ9作目。村山さんの作品の中でも好きなシリーズです。今回も店長さんはお留守、あやかしのねここがお店を守っています。毒舌だけど愛らしいねここを表紙絵をイメージしながら読む楽しみ。失った悲しみを抱えて時を戻したいと願う人々のお話です。私にもあの時こうしていたらと考えることはあります。誰一人叶わない事なので諦めるしかないけれど、未来ならば変えられる可能性は溢れているのかも。ただ、物語の中だけでも夢のような出来事に浸ることは皆に許されても良いと感じます。花咲家シリーズも熱望します。 2020/04/13
とし
90
コンビニたそがれ堂「花時計」9巻。今回は店長さんは不在、ねここ目線、「人間て同じ程度にほっとけなくて、かわいらしくて強く優しい、人間なんて寿命が短くてほんのちょっとしか生きないくせに、てんで生意気だよね」切ない物語でしたが暖かみのある3編でした。2020/07/17
はる
78
もしも、やり直すことが出来るなら。もしも、大切な人ともう一度この世で会うことが出来るなら…。切なくてあたたかい。村山さんの汚れのない文章が心に染みる。誰もが考える、あの時に違うことをしていたならば。甘すぎない、ねここの態度がいい。どのエピソードも結末が素敵だった。最後の、二人の少女の友情を描いたエピソードが一番好みかな。2020/08/06