出版社内容情報
■著者
櫻いいよ(さくら・いいよ)
2015年、『君が落とした青空』でデビュー。代表作に『交換ウソ日記』『黒猫とさよならの旅』(全てスターツ出版)、『図書室の神様たち』(小学館)がある。YA作品「たちまちクライマックス!」シリーズ『あなたを好きになった瞬間』(ポプラ社)などにも短編を収録。
内容説明
「俺らの関係全部、嘘だったのかよ」。昼は会社員、夜は女子高生。彼女が自分の居場所を求めて必死にもがいた先には―。切なすぎる二人の青春物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
64
大人の夏休み、学生の休憩時間に、ページを開いてほしい作品。もしかして、この夏のナンバー1かもしれない。2019/08/16
dr2006
47
とても切なく心に刺さる❤物語だった。SNSやメタファの空間で築いた心地良い人間関係はリアルな社会へ持ち出すのは難しい。自分の素性は勿論、関係性を保つ為に付いた嘘や自分に都合が良い他人のアバターへの思い込みが障壁になるからだ。大抵、リアルの暴露は致命的になる。主人公は社会人の桃子と中学生の翠の二人。夫々の置かれた境遇と孤独に疲れ果て、息抜きに夜の街を歩き回っていた二人だが偶々、公園に集まっていた高校生のグループと知り合いになる。詳しい素性を明かさないのがグループの暗黙の了解だったが、二人はやがて惹かれ合う。2022/06/26
よっち
45
両親の仕事がうまくいかず貧乏な日々に鬱屈を抱える翠。夜に語らう高校生グループで気を紛らわせていた彼が、桃子という少女に出会う物語。お金もなくバイトも禁止で手先の器用さや宿題で小銭を稼いで早く働きたいと願う翠と、彼が同じ思いを共有する仲間と語らう中で出会った桃子。お互いままならない日常に葛藤しながら、想いを積み重ねていった二人にはそれぞれ思いも寄らない嘘があって、転機を迎えた自分に向き合ってこれまで見えていなかった様々なことに気づいてゆく彼らが、それでも忘れなかった大切なものに気づくとても素敵な物語でした。2019/09/02
かすみん
23
偽りの二人の物語、揺れ動く感じがまた何とも言えない。そしてこの結末。すごく良い。2020/12/31
なみ
20
夜に出歩く高校生グループに所属する少年、翠はある日、制服を着た桃子と出会い──。 未来に不安を感じる子ども、過去に未練を抱く大人。 それぞれに悩みを抱えながら、懸命に日々を生き抜こうとする彼らの姿が愛しいです。 櫻さんの今までの集大成、というような印象を受けました。 前に進む勇気をくれる素敵な物語です。2019/08/05