出版社内容情報
少女たちの心を撃ちぬいた芥川賞作家の幻の名作が、待望の復刊!
内容説明
進学校の女子高で、自らを「僕」と称する文芸部員たち。17歳の魂のゆらぎを鮮烈に描き出した著者のデビュー作「僕はかぐや姫」。無機質な新構想大学の寮で出会った少女たちの孤独な魂の邂逅を掬い上げた芥川賞受賞作「至高聖所」。語り継がれる傑作二編が、待望の復刊!
著者等紹介
松村栄子[マツムラエイコ]
1961年静岡県生まれ、福島県育ち。筑波大学第二学群比較文化学類卒業。90年「僕はかぐや姫」で海燕新人文学賞を、92年「至高聖所(アバトーン)」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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absinthe
182
復刻されてよかった。『僕は…』女子高生の物語。反抗したいが何に反抗しているかも忘れている自分。生まれてきた性や環境に疑問を持って生きながら、次第に自分を受け入れていく話。『至高…』は女子大生の物語。こちらの方が気に入った。ひたすら鉱物収集に明け暮れる主人公と戯曲を書き続ける同室の女子。人物たちはそれぞれ小さな悩みを抱えているが微妙。戯曲に登場する神殿と閉ざされた大学が微妙に重畳する。懐かしい。読んでいて、遠い昔に忘れてしまった青年時代の様々な記憶が呼び起された。2021/04/16
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
99
☆5.0 『至高聖所(アバトーン)』第106回芥川賞受賞作。 投げ上げられたあなたの思いを ピエロの手が掬う刹那、 それを待ちわび、わたしの思いが宙を舞う。 ふたりの思いは混交し浮遊するジャグリング。 『僕はかぐや姫』 17歳。 シケ単を振りかざし良妻賢母養成施設の門を潜った。 孤独が「僕」の制服のスカートの裾を掠めていった。 赤信号をひとりで渡る爽快感に震える日々だった。2021/04/23
佐島楓
68
そういえば、私もこんな奇妙で不穏な心の揺らし方をしていたな、とまざまざと思い出す。けれど、小説にでも書かない限り通り過ぎると忘却の彼方になってしまうのはなぜなのだろう。今は痛みの感触しか残っていない。2019/03/24
里愛乍
45
夢中で読んだ。現代じゃないあの頃の高校生。10代そこそこの学生に昭和も平成もないのだなぁ、あるのは周りの環境の違い。それがウェットにしたりドライに見せたりしてるのかな。此処に居る自分が自分で有る意味、偶さかであるのにそこに見出したい価値、「僕」であろうと「わたし」であろうと其処に何かを見出したいのは恐らくは人間特有、考える余裕のある特権。その頃の感覚を完全に目覚めさせてくれた静かで鋭い透明な雰囲気を放つ小説だった。2019/03/28
いちろく
35
復刊版にて再読。自分の事を僕と語る少女達を描いた「僕はかぐや姫」。あとがきにて、著者自身の高校時代を反映させていると知り納得できた事が多々。特に、日常の学園生活の描かれ方が臨場感に溢れたモノだったから。少女から大人になる前の精神的な通過儀礼とも受け取れなくもない独特な世界観。著者曰く、17歳という特別な期間を描いた物語。さよなら、僕、よろしく、私。2019/03/23