出版社内容情報
〈坂東巴流〉の家元Jr.友衛遊馬、20歳。自分の目指す茶の道とは、剣の道とは、弓の道とは――を考え続ける。笑いと涙の完結篇!
内容説明
弓、剣、茶の「三道」を伝える“坂東巴流”の嫡男・友衛遊馬、二十歳。家出先の京都から帰還するも、家元でさえ副業しなければ家族を養えない貧乏流派ゆえ、働き口を探してこいと言われてしまう。建造が始まったスカイツリーの警備員に収まるが、周囲からは「あそこの跡継ぎはダメだ」と後ろ指を指され、ガールフレンドとの仲も“行き止まり”。冴えない日々の中、曲者ぞろいの茶人武人にやりこめられながら、遊馬は自分の進むべき道をぐるぐると探しつづける。明日が見えないあなたに贈る笑えて泣けて元気になれる物語。
著者等紹介
松村栄子[マツムラエイコ]
1961年静岡県生まれ、福島県育ち。筑波大学第二学群比較文化学類卒業。90年『僕はかぐや姫』で海燕新人文学賞を、92年『至高聖所(アバトーン)』で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まちこ
52
遊馬の後継ぎ問題もいよいよ完結。遊馬は家元になるかならないか自分の器を考えていたんだなと思う。華道剣道弓道の三道はどれが欠けても坂東巴流にならないという教え。茶事で命のやりとりのような緊張感を感じるとか、色んな研鑽があったからこそかな。秀馬が佐保に『私なんてだめですというのをやめなさい』と言った指導が胸に響いた。私もダメでない私になるために研鑽しよう。自分を磨けるのは自分だもの。読みやすくて刺激されるシリーズでした。これからも繰り返し読みます。2017/11/11
horihori【レビューがたまって追っつかない】
38
「粗茶一服」シリーズ第3弾。弓、剣、茶の「三道」を伝える坂東巴流の長男・友衛遊馬、20歳。自分の習うべき師匠は、弥一しかいないと、京都から帰還するも、家元でさえ副業しなければ家族を養えない貧乏流派ゆえ、働き口を探してこいと言われてしまう。建造が始まったスカイツリーの警備員に収まるが、周囲からは「あそこの跡継ぎはダメだ」と後ろ指を指され、佐保との仲も“行き止まり"。冴えない日々の中、曲者ぞろいの茶人武人にやりこめられながら、遊馬は自分の進むべき道をぐるぐると探し続ける。これでひとまず完結かな。2021/06/27
冴子
35
シリーズの最終巻が出ている、と聞いたのはGWに開かれた、母が主催のお茶会でのこと。毎回手伝いに来てくれる妹の友人からだった。もともと彼女にこのシリーズを紹介したのはもう随分前だったので、最終巻が出ていることに気づいてなかった。時間も経っていて、登場人物の何人かは忘れていた。しかし生まれながらにこうした家に育ちながら、それを我がものとして受け入れる覚悟を遊馬がするまでには、随分色んな経験が必要だったわけだ。だからこそ、見事なまでのラストがあったのだと思う。舞台が東京というのもよかったな。2018/05/19
信兵衛
35
読めばやはり心弾むように楽しくなってくる、ユニークな、お茶&武道を究めんとする青春ストーリィ。 まだまだこの後も続きそうです。楽しみ! 2017/12/07
ぱぴこ*2
21
シリーズ3冊目。また遊馬の確かな成長が見られて嬉しくて。今年は茶道関連の本の当たり年。軽めの読み物風のこのシリーズも茶道や弓道の場面では背筋が伸びる。弥一さんやお隣のお尚さまの言葉にはなるほどと心に落ちる。今まで知らなかったことがらに触れることができる。読書の醍醐味。「図書館本:67」2018/11/14