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出版社内容情報
表題作「やわらかい手」(花岡大学)と、「ねんどのかみさま」(那須正幹)の2編を収録。
内容説明
空襲の炎と煙の中で、幼い妹のアキを死んでもはなしてはならない、と思っていたのに、順二は、その手をはなしてしまった。自分がたすかりたいばかりに―。戦争の時代を生きた作家が伝える、忘れてはならない大切なものがたり。表題作「やわらかい手」と「ねんどの神さま」を収録。
著者等紹介
西本鶏介[ニシモトケイスケ]
1934年、奈良県に生まれる。国学院大学文学部文学科卒業。昭和女子大学名誉教授。評論家、民話研究家、童話作家として幅広く活躍しており、著書は600冊余を数える。第36回巖谷小波文芸賞特別賞を受賞
スズキコージ[スズキコージ]
1948年、静岡県に生まれる。絵本や挿画のほか、イラストレーターとしてポスター、壁画、舞台美術なども手がける。主な作品に『エンソくんきしゃにのる』(小学館絵画賞・福音館書店)『やまのディスコ』(絵本にっぽん賞・架空社)『おばけドライブ』(講談社出版文化賞絵本賞・ビリケン出版)『旅ねずみ』(赤い鳥さし絵賞・金の星社)『ブラッキンダー』(日本絵本賞大賞・イーストプレス)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
37
1970年に出版された「やわらかい手」を読み、生き延びたものの良心の呵責に苦しみ、周囲には強烈な怒りしか見せることのできない少年の姿に涙しました。21世紀になって初めて、あの頃のことを話す気になった…そうおっしゃる体験者さんたちの多さ。そしてずっと抱えてきた苦しみ…。生き残ったことへの罪悪感。人を人でなくしてしまう戦争の恐ろしさをダイレクトに感じるお話でした。読めてよかった。読み友さんから。2021/03/19
ヒラP@ehon.gohon
23
【やわらかい手】 空襲の中で離れ離れになってしまった妹への、自責の念に苦しむ兄の姿に、言い尽くせない悲しみを覚えました。 自分自身を守るために、妹を突き放した記憶は、一瞬のことであれ、順二の心に根をはってしまいました。 誰も順二を責めることの出来ない、極限状況のお話です。 第三者ならではのきれいごとは言ってはいけないように思いました。 2021/03/12