内容説明
茅野しおりの日課は、憧れのいとこ、美弥子さんが司書をしている雲峰市立図書館へ通うこと。そこでは、日々、本にまつわるちょっと変わった事件が起きている。六十年前に貸し出された本を返しにきた少年、次々と行方不明になる本に隠された秘密…本と図書館を愛するすべての人に贈る、とっておきの“日常の謎”。知る人ぞ知るミステリーの名作が、書き下ろし短編を加えて待望の文庫化。
著者等紹介
緑川聖司[ミドリカワセイジ]
大阪生まれ。2003年「晴れた日は図書館へいこう」で、第1回日本児童文学者協会長編児童文学新人賞佳作を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
446
ジュニア図書館ミステリ。とジャンル分けさせてもらっていいのかなあ。どんどん話が進んで、日常の謎系の短編が続き、そして……やってくれますねえ。これぞこういう本だからこそのあり方なんでしょうね。児童書とはいえ、主人公(ヒロイン、と呼んでしまっていいのか?)たちの身辺は、やはり現代的にそれなりに複雑です。たいていの文学はそのへんをかなり深刻に描いているので、気がめいってしまいますが、本作はそこをうまく、問題性を加減することなく、しかも読後感さわやかに終わってくれています。2014/11/01
まりも
262
本が大好きな小学校5年生の女の子しおり。彼女が毎日通う図書館で起きるちょっと変わった事件を解決していく話。このほのぼのとした雰囲気と心がほっこりする読後感が児童書らしくて良いですね。ただ謎解きを含めて非常にアッサリしており、物足りなさを感じた所もありました。その分読みやすいの本を読む楽しさに気軽に触れる事が出来るのがこの作品の魅力かな。図書館で読むとまた違った面白さが見つかるかもしれませんね。続編も楽しみです。2015/03/09
ユメ
243
とにかく本を読むことが楽しくてたまらない、純粋な女の子・しおりの視点から見た図書館が本当に夢の詰まった場所として描かれていて、彼女を優しく見守る素敵な司書・美弥子さんの存在と相まり、心温まるストーリーとなっている。図書館の本棚を前にして目を輝かせたことがある人なら、きっと誰でも共感できるのでは。自分が小学生の頃に通っていた図書館を懐かしく思い出す。「晴耕雨読」と言うけれど、本好きは皆「毎日読んだって読みたい本は読み切れない!」と思っているはず。そんな気持ちを爽やかに、力強く肯定してくれるタイトルだ。2014/11/26
佐々陽太朗(K.Tsubota)
219
人には好もしい面と忌むべき面がある。意地悪だったり、嫉妬深かったり、卑劣だったり、時に残虐ですらある。でも、好もしい面もあるのだ。この本は人の中には好もしい面が確かにあると感じさせてくれる。読む人を幸せにする本といえば良いのだろうか。私にとってそうした本はたとえば次のようなものだ。北村薫「円紫さんとわたし」シリーズ、坂木司『和菓子のアン』、山本幸久『ある日、アヒルバス』『幸福ロケット』、藤野恵美『ハルさん』、ロバート・F・ヤング『ピーナツバター作戦』etc.・・・私はこうした本が大好きだ。2013/08/11
パフちゃん@かのん変更
207
高校図書館から借りてきました。主人公は小学5年生の女の子。大変読みやすくすぐ読めます。市立図書館では単行本は児童書に、文庫本は一般書に分類されていました。もともと児童書として新人賞を受賞した作品ですが、本好きの大人にも十分楽しめます。図書館の日常に潜むミステリーです。しおりの従姉の美弥子さんの雰囲気がいいですね。2014/05/14