出版社内容情報
日本語が巧すぎる盲目のスーダン人が、聞き、嗅ぎ、味わい、感じた日本を描く、前代未聞の面白エッセイ!!
内容説明
ひょんなことから19歳で来日。言葉も文化も初めて尽くしのなか、さまざまなピンチに見舞われながらも、日本語、点字、鍼灸の専門用語、オヤジギャグを使いこなすまでになった著者。パソコンの音声読み上げソフトを駆使して自ら綴った、爆笑、ときどきホロリの異文化体験手記。
目次
トライ(渡来)
初めて日本を食べる
スーダンへ強制送還の危機
同時に三か国語を学ぶ
雪の上にも三年
酒って避けては通れない道
第二の青春
社会人というカルト宗教
裸足から二足のわらじへ
スピード違反婚〔ほか〕
著者等紹介
アブディン,モハメド・オマル[アブディン,モハメドオマル] [Abdin,Mohamed Omer]
1978年、スーダンの首都ハルツームに生まれる。生まれたときから弱視で、12歳のときに視力を失う。19歳のとき来日、福井県立盲学校で点字や鍼灸を学ぶ。その後、東京外国語大学に入学。現在同大学院で研究を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
seacalf
65
盲人で日本語がまったく話せない19歳のスーダンの若者が日本に来て奮闘するエッセイ。これがめっぽう面白い。福井の盲学校時代に粘土で漢字を教えてくれた先生の話や、お寿司の美味しさに開眼した筆者の為に頻繁に手巻き寿司を振る舞ってくれたホストファミリーの話など温かいエピソード、『移民の宴』を読んでいると吹き出す内容もあるし、魔法にかかったとしか思えない単一集団化する就活大学生の話など日本独自のシステムを客観的に語ってくれたり、馴染みないスーダンの結婚事情など異文化にも触れられる。とにかく盛り沢山の内容に満足。2018/07/27
ぶんこ
50
高野さんの「移民の宴」を読んで興味を持って読んでみました。まずスーダンから何も知らない日本に留学するだけでも覚悟がいると思えるのに、全盲です。色々な困難に遭遇する度に、一度は逃げようとするところが人間的で共感を覚え、生真面目すぎなかったことが良かったのかな。福井の学校の先生、週末のホームステイ先の家族、日本語の先生と人にも恵まれましたね。障害をマイナスに捉えないで、どんどん外に出かけ、サッカーをして、自転車にも乗る。読むと元気がもらえます。2017/05/26
草食系
27
目が見えない状況で異国で勉強。言語の問題、知り合いもいない場所で専門知識を獲得しなくてはいけない。私だったら確実にめげそうな重圧の中で、おやじギャグまで身につけて、家族の誇りにまでなった著者がとても素晴らしかった。失敗したら怒られるという恐怖のお父さんの存在も、側にいなくても助けられたんですね。お母さんの優しさもとてもよかった。母国の家族の素敵さもしみじみ伝わってきた。2014/05/25
ごへいもち
26
一気読み。高野秀行プロデュースらしくポジティブ2013/12/19
ピンガペンギン
22
全盲(来日当初はほんの少し視えていた)でスーダン人のアブディン氏のデビュー作。「日本語とにらめっこ」を先に読んでいたが、この作品の方がアブディンさんらしいパンチがきいていて描写がとても面白い。微妙に日本語本来の表現とズレている部分があるのも良い。電子版で読んだのですぐにパラパラと見返せないのだが、東京外大に入学できることになり、学生寮にも入れたが電車で片道1時間半以上かかるとわかり、急遽特訓するところなど印象的だった。乗り換えのJR線ホームに段差があり、そこで気が付かないと転落の危険もあるとか。2022/09/12